「光る君へ」高杉真宙、惟規の唐突なラブストーリー展開に「ギャグかと思った」
吉高由里子が紫式部(まひろ)役で主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合・日曜午後8時~ほか)で、まひろの弟・藤原惟規を演じる高杉真宙。平安時代を舞台にしながら、登場人物の中で唯一「●●だな~」といった現代語に近い話し方や明るくひょうひょうとした雰囲気で視聴者に親しまれる彼が、15日放送・第35回では恋愛にまつわる珍事件を引き起こす。本シーンの裏側を、高杉が語った。
本作は、平安時代に1000年の時を超えるベストセラーとなった「源氏物語」を生み出した紫式部(まひろ)の生涯を、「セカンドバージン」(2010)や「大恋愛~僕を忘れる君と」(2018)など恋愛ドラマの名手としても知られる大石静がオリジナル脚本で描くストーリー。高杉演じる惟規は、勉強嫌いでマイペース、ひょうひょうとした性格。インテリで気難しい姉・まひろとは対照的なキャラクターとして描かれた。
これまで惟規の登場シーンのほとんどがまひろの実家・為時邸だったが、前回で惟規が藤原道長(柄本佑)の計らいで蔵人に抜てきされたことから内裏へと場を移すことになる。惟規が内裏に上がった心境について、高杉はこう語る。
「あらためてうち(為時邸)って古かったんだなって(笑)。すごい勢いで偉くなったので父上のお下がりの束帯を着る時間があまりなかったのは少し残念です。僕は衣装がずっと変わっていなかったので、着替えもほとんどなかったんですけど、 1日の撮影で着替えることが多くなって。それに衣装が高価になった分、ちょっと重いんです。 大変だな……偉い人って。あと笏を腰に差すようになったんですけど、よく落とします(笑)」
惟規の私生活はこれまであまり描かれることはなかったが、第35回「中宮の涙」では、惟規が男子禁制の斎院の塀を越えて女房(斎院の中将/小坂菜緒)に会いに行き、警固の者に捕らえられるハプニングが起きた。
高杉は台本でこの展開を読んだ際に「唐突に入って来た斎院の中将とのラブストーリー。どういうシーンなんだろうと(笑)。現場に行って僕はギャグだと思っていて、割と手をふるわせながら臨みました」と当初戸惑ったことを明かしながら、知られざる一面について「こと恋愛においてはすごく情熱的なんだなって。でもなんだかんだいって、うぶな部分も多そうだなと思ってやらせていただきましたけど。これまで女性に話しかけて振られて傷ついて……っていうのをたくさん繰り返してきたのかなと」とも。
一方で、身分社会だった当時において「男子禁制の塀を越えるという行為には身分の差を超えるという意味合いも含まれているのではないかと感じました」と解釈を述べる高杉。タブーをおかした惟規だが、とっさに詠んだ「神垣は木の丸殿にあらねども名乗りをせねば人咎めけり」という歌が斎院の選子内親王に気に入られ、解放されるという予想外の事態へ。
昔から嫌っていた勉学に救われるという展開に、高杉は「あの家族の中では勉学の才能はない形になっていると思うんですけど、やればできる子なんだろうなと思いました。あのシーンで。やる時はやる男なんだって。前回で蔵人へと出世しますが、それが道長の計らいがあったとしても、何もしていなかったら偉くなっていないと思うので。基本的にいつも感情を見せず、ふざけているように見えるけど、彼なりに頑張っていたんだと思います」と惟規の知られざる努力に思いを馳せた。
かつては女性と会っていて寝過ごし、仕事をズル休みしたこともある惟規。常にのほほんとしたマイペースな性格に、高杉自身シンパシーを感じることもあるといい「あれぐらいの気持ちでいられたらラクですよね(笑)。気負いすぎないところは見習ってもいいところなのかなって。僕も割と物事をそこまで重く捉えない方ではあるので、そういう意味では近しいものを感じます」と話しながら「でも、あんなにひどくはないですよ(笑)! そこだけは誤解を招かないように言っておきます」と訴えていた。(編集部・石井百合子)