マイケル・キートン『ビートルジュース』続編が良すぎてビックリ バートン監督に伝えた条件
映画『チャーリーとチョコレート工場』『アリス・イン・ワンダーランド』のティム・バートン監督最新作『ビートルジュース ビートルジュース』(全国公開中)で、約36年ぶりにビートルジュース役に復帰したマイケル・キートンが、最新作の魅力と共に、大ヒット作の続編制作に対する思いを語った。
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前作『ビートルジュース』(1988)は、不慮の事故で幽霊となってしまった若い夫婦が、自分たちの家に引っ越してきた人間一家を追い出すため、死後の世界の“人間怖がらせ屋”ビートルジュース(キートン)に頼ることで巻き起こる大騒動を描いたホラーコメディ。ティム・バートン監督ならではのダークでポップな世界観は現在も世界中で支持され、キートンが奇抜なビジュアルで怪演したビートルジュースも、ハロウィンのコスチュームやミュージカルなど、さまざまな形で愛され続けている。
ビートルジュース役への復帰について、キートンは「まず、この続編はティムなしでは成立しないわけで、彼と一緒にこの世界観をもう一度体験することが大事でした。彼以外にこの映画ができる監督はいませんから。何よりティムがいなくては続編はできないし、彼と僕のタッグでなくてはいけなかったと思います」と断言。「また同様に、オリジナル作のキャストである、キャサリン・オハラに、ウィノナ・ライダーが復活してくれたことも大事で、個人的にもそれが最高に嬉しかったですね」と語る。
36年越しの続編でも、バートン監督のアートセンスが炸裂。最新技術だけに頼らない、悪趣味でキュートなゴーストたちの手作り感あふれるビジュアルも健在だ。キートンも「何年も前、最初にティムに言ったのは、『もし続編を作るようなことがあったら、コンピューターを駆使したような巨大な作品にはしたくない。そういう作り方の方が、全てが簡単にできるようになるけど』ということでした。だけど、言うまでもなく、彼も最初から全く同じことを考えていたんです。続編を作ることがあったら、最初と同じように、手作り感が残る作品にしたいと」と明かす。
そのアドバイスの裏側には、大ヒット作の続編に対する、キートンならではの考えがあるようだ。「少し変わった答えと思われるかもしれませんが、オリジナルと比較して、あまり大きく変えてはいけないように思います。すでにある独自の世界観を守るのは大事だと思うんです。だから、もしティムが『続編を作りたい。でも、見た目は前とは違うものにしたい』と言ったら、みんな『いや、そんなに違うものにはしないでほしい』と言うと思います。『オリジナルと同じようにしてほしい』とね。だから今作の場合は、同じ世界観でありながらも、同時にどこか違う作品になったと思うんです。具体的にどこがどのように違うのか、表現できないようなものにね」
キートンが言う通り、前作のノリを維持しつつも、前作のヒロイン、リディア(ウィノナ)と反抗期の一人娘アストリッド(ジェナ・オルテガ)の母娘をめぐる、エモーショナルなドラマが心を打つ本作。その出来にキートンも「本当にすごくエモーショナルな作品になったと思っています」と絶賛する。
「それは僕も驚いたところです。役者として映画の世界観の中で制作をしている最中は、目の前の部分的なところだけで全体像は見えていません。映画の撮影が終わった後で『ほぼ完成したけど観たいですか?』と聞かれ『もちろん観たいです』と言った時も、どんな作品になっているのか、心の準備がまるでできていませんでした。まさか、こんなにエモーショナルな作品になっているとは思ってもみなかったのです。とにかく上映時間中クレイジーなことが起き続けるだけの作品ではなかった。登場人物たちがとても大事な存在に思えたのです。こういうタイプの映画って、そうしたことがまるで気にされていないこともありますからね」
「それからビジュアルの面も非常に美しかった。ティムの映画は常に彼の莫大なイマジネーションが表現されていますが、この作品もそうだった。本当に、なんて美しい映画なんだと思ったのです」
ちなみに、ビートルジュースを演じた翌年、キートンはバートン監督と再タッグを組んだ『バットマン』(1989)でさらに大ブレイクし、続編『バットマン リターンズ』(1992)にも出演した。昨年公開されたDC映画『ザ・フラッシュ』では、バットマン/ブルース・ウェイン役への復帰も話題を呼んだキートンだが、本作の撮影中、バートン監督とその話はしなかったという。「そう言われてみれば、ティムにそのことは聞いていませんでした。それって確かに変ですよね。思ってもみませんでした。それは彼に聞かないといけないなあ(笑)」(編集部・入倉功一)