日本で『ハリポタ』のクリスマスのごちそうを完全再現！イギリスの職人がプレッシャーを感じた理由とは？
東京・練馬区としまえん跡地の「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 - メイキング・オブ・ハリー・ポッター」（以下、スタジオツアー東京）で、クリスマスシーズン限定の特別企画「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」が11月9日から2025年1月5日まで初開催される。スタジオツアー用の小道具制作チームを率いるのは、映画『ハリー・ポッター』シリーズの小道具制作ヘッドであるピエール・ボハナだ。制作真っただ中だった今年6月、オックスフォードの工房でボハナたちが取材に応じ、日本のためにホグワーツのクリスマスのごちそうを再現するにあたってのプレッシャーを明かした。
スタジオツアー東京は、映画『ハリー・ポッター』シリーズの制作の舞台裏に足を踏み入れ、映画制作の驚くべき世界を体験できるウォークスルー型のエンターテインメント施設だ。本国イギリスの「スタジオツアーロンドン」に続く世界2か所目として誕生し、日本のみならず海外からのファンも集まる『ハリポタ』ファンの聖地となっている。「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」は、そのホグワーツの大広間のセットで第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリスマスシーンを再現する特別企画。ボハナは当時の職人たちを再招集し、ツリー用のきらめく飾りや、七面鳥のロースト、ポテト、ケーキやプディングといったクリスマスのごちそうの食品サンプルを、一つ一つ手作業で仕上げていく。
『ハリー・ポッターと賢者の石』の撮影では当初、本物の料理を大量に使用していたが、それはいいアイデアではないことがすぐに明らかになった。「食べ物を用いての撮影期間はおよそ3週間だったのですが、1週目が終わる頃にはその判断が間違っていたことに気付きました。セットのにおいがあまりにもひどかったからです。大きな七面鳥を並べては温め直し、また持ってくるということを繰り返し、使い続けていたので」と当時を振り返ったボハナ。小道具チームに食品サンプル制作の依頼が来たのは、そういうわけだった。ごちそうは『賢者の石』の途中から食品サンプルに切り替えられ、その後のシリーズでは初めから食品サンプルで撮影が行われた。
今回の「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」用の小道具制作では、可能な限り当時の職人を起用し、オリジナルを完全に再現している。職人たちが手掛けた七面鳥は、完璧なロースト具合で皮はパリっとしており、思わずよだれが出そうな仕上がりだ。ボハナは「全てを少し湿った感じに見せなければならないのです」と秘訣を明かすも、「とはいえ、日本のために食品サンプルを作るのはなかなか気が引けるものですけどね」と吐露。「日本のレストランの店頭に飾られている食品サンプルは素晴らしい出来ですからね。皆さんの水準の半分ほどでいいから達成できていることを願うばかりです」と笑った。
ホグワーツのクリスマスのごちそうには、山盛りのローストポテトもある。いくつかのポテトは動かせるようになっているが、これは日本用だからこそなのだという。「一部、自由に動かせるようにすることで、盛り付けに少し変化をつけることができます。くっつけてしまうと、全てが全く同じに見えてしまいますからね。日本では誰も展示に触ったりしないので、そうやって置いておくことができるんです」と語っていた。
長いテーブルいっぱいにごちそうが並び、飾り付けられたツリーが輝くホグワーツのクリスマス。「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」でそんな映画そのままのクリスマス仕様の大広間に足を踏み入れ、ハリー・ポッターが感じたのと同じ温かさをぜひ体感してほしい。（編集部・市川遥）