トニー・レオン、TIFF審査委員長「とても名誉なこと」橋本愛らとコンペ部門審査
第37回東京国際映画祭
俳優のトニー・レオンが29日、TOHOシネマズシャンテで行われた第37回東京国際映画祭コンペティション部門の審査委員記者会見に出席し、「また東京にやってくることができました。審査委員長として臨む映画祭はとても名誉なことです」と思いを語った。会見には、審査委員を務めるエニェディ・イルディコー(映画監督)、橋本愛(俳優)、キアラ・マストロヤンニ(俳優)、ジョニー・トー(映画監督/プロデューサー)も参加した。
110の国や地域から集まった2,023作品から、コンペティション部門に選ばれた15作品。トニーは「実はまだコンペ作品を観ていないのですが……」と笑うと、中国語映画が15本中5本含まれていることに「アジア映画は中国語作品だけではなく、ハイクオリティーなものが多い。香港映画、台湾映画、韓国映画、日本映画……毎年たくさんの素晴らしい映画がある」とアジア映画のレベルの高さを強調し「今年も良い作品がコンペに参加していると聞いているので、とても楽しみです。どの作品も良い成績を収められることを祈っています」と期待を口にしていた。
東京国際映画祭の特徴について、トニーは「新進監督のプロモーションをはじめ、いろいろなカテゴリーに分けて紹介している、全面的な視野を持つ映画祭だと思います」と語ると、「偉大な過去の映画人を振り返る企画もあり、いまだけではなく、過去を知る機会を提供する。それはとても素晴らしいことだと思います」と意義を述べていた。
今年の審査委員に抜てきされた橋本は、「これまで東京国際映画祭には割と関わらせいただいてきました」と2021年&2022年でアンバサダーを務めてきたことに触れ、「今年初めて審査員という重要な役目を、このような錚々たる皆様と共に務めさせていただくことを、心から光栄に思いますし、震えるほど緊張もしています」と率直な胸の内を明かす。一方で「自分の人生において、このような機会は二度とないと思うので、楽しんで、映画を観る日々に浸りたいと思います」と意気込みを述べていた。
さらに橋本は「映画祭によって世界地図が浮かび上がってくるよう」と世界各国の映画に触れることができる映画祭の意義を述べると「アジア映画に関していえば、日本で俳優をやって日本で映画を作る仕事をしている人間としては、常に危機感を持てるような存在です。言い方を変えれば成長の余地を感じさせてもらえる」と語る。
言葉の真意について橋本は「アジアの映画を観るたびに、自分たちはどうやって映画を作っていけばいいのだろうか、どうやったら良くなるのだろうか……という思いになります。映画祭でアジア映画に触れることで、自分たちの現在地を見つめ直すことができます」と明かすと「自分たちにとってアジア映画を知ることはとても大切なことです」と語っていた。
また審査委員として映画を観ることと、プライベートで鑑賞することの違いを問われたトニーは「まったく違うと思う」とつぶやくと「小さいころから映画館が好きで、週に4~5回行くほどなのですが、審査委員長として映画を観るとなると、鑑賞後に素晴らしい審査委員の方と共に議論をしなければいけない。頭が悪いな……と間違ったことをしないようにしっかり観ないといけない」と苦笑い。橋本も「初めての審査委員なので想像でしかないのですが」と前置きすると「直感的に受け取ったものは大切にしつつも、論理的な視点も持ちながら観ないといけませんね」と気を引き締めていた。(磯部正和)
「第37回東京国際映画祭」は11月6日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中