実写「ウイングマン」坂本浩一監督が目指す学園ドラマ「仮面ライダーフォーゼ」とは違うアプローチ
人気漫画家・桂正和の連載デビュー作を藤岡真威人主演で実写化する、テレ東ほか・ドラマチューズ!「ウイングマン」(毎週火曜深夜24時30分~)を手掛けた坂本浩一監督が、これまで手掛けた特撮作品とは違う本作のアプローチについて語った。
本作は、特撮オタクの青年が、描いたことが現実になる不思議なノートの力で正義のヒーローとなって戦う連続ドラマ。高校2年生の主人公・広野健太が、異次元世界からやって来た謎の美少女・アオイが持っていた、“ドリムノート”に空想のヒーロー“ウイングマン”を描いたことで変身能力を手に入れ、異次元世界からの刺客たちとの戦いに身を投じる。
原作は1983年から1985年にかけて「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載。健太は中学生(ドラマ版は高校生)という設定で、1970年生まれの坂本監督はリアルタイム世代。実写化発表時に坂本監督は「自分とたくさんの共通点を持つヒーローオタクの健太に親近感を持ち、魅力的なヒロイン達に魅了され、毎週ジャンプの発売日を楽しみにしていました。そして何度も実写で『ウイングマン』を見たいと夢見ていました」とコメントを寄せていた。
小学3年生のころにジャッキー・チェンと出会った坂本監督は、その憧れを胸に16歳の時に倉田アクションクラブの門をたたき、以降もスタントマンとして活動。アメリカでの活躍を経て、今や監督として「仮面ライダー」「スーパー戦隊」「ウルトラマン」という三大特撮ヒーローを手掛けるまでに。まさに満を持して「ウイングマン」を実写化することになったが、今回は、これまでの特撮番組とは全く違うアプローチに挑んだという。
「『ウイングマン』を面白くしている要素のひとつが、健太が完全無欠のスーパーヒーローではなく、等身大の男の子として描かれているところだと思います。桂先生も、今の若い子たちが観ても違和感のないドラマにすることにこだわっていました」という坂本監督は、「特撮番組を作る時って、最初にヒーローや悪役の存在があって、そこから世界観を作っていくのですが、今回は等身大の高校生たちの恋愛模様や青春群像劇をちゃんと描きたいという思いがあったので、まずはしっかりと現実的な世界観を構築して、そこに異形の存在としてヒーローや敵が登場するという、通常の特撮番組とは逆の方向からアプローチしました」
坂本監督と学園ドラマといえば、2011年に放送された「仮面ライダーフォーゼ」が思い出されるが、本作については「全く違う作り方をしていますね」と断言。「『フォーゼ』で最初に考えたのは、どうやって学園のなかでライダーと敵が戦っていく世界を作るのかということ。登場人物も、はっきりとわかりやすいキャラクター付けをしていましたが、今回はより等身大の高校生を描くことを意識したので、『スーパー戦隊』や『仮面ライダー』とは違う楽しみ方ができる特撮作品に仕上がっていると思います」と自負する。
坂本監督の言う通り、「電影少女」や「I"s」などで描かれた、若者ならではの悩みや淡い青春模様も桂作品の魅力のひとつ。本作も、坂本監督ならではのアクションはもちろん、健太とヒロインのアオイを中心とした恋愛模様も見どころとなりそうだ。「やっぱり魅力的なヒロインとの恋愛模様というのは、桂先生の作品の大切要素だと思います。それをいかにしてヒーローものでやるのかという挑戦をしています。普通は子供が照れちゃうので、特撮で恋愛はあまり描かないのですが、今回はがっつりとやらせていただいたので、より桂先生の作風が強く出た作品になったと思います」
これまでとは一味違った、新たな特撮ドラマに挑んだ坂本監督。「ウイングマン」の世界をさらに広げるべく、1シーズンで終わる気はないという。「まず『ウイングマン』を読んでいた50代~40代の世代や、今の特撮ファンの方々に楽しんでいただきたいですし、青春ドラマとしても楽しめる仕組みにしたつもりなので、特撮を知らない方にも既成概念を取っ払って、まずは観ていただきたいです。それだけ幅広い視聴者に刺さる作品になっていると思いますので、たくさんの方に観ていただいて。ぜひ、次のシリーズへとつないでいきたいと思っています」(編集部・入倉功一)
テレ東ほか・ドラマチューズ!「ウイングマン」第2話は10月29日深夜24時30分~放送