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『ウォレスとグルミット』クレイについた指紋が愛情の証 悪役復活の新作を監督が語る!

『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』がいよいよ配信開始
『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』がいよいよ配信開始

 第82回ゴールデン・グローブ賞の長編アニメ映画賞にノミネートされているクレイアニメ『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』の配信がNetflixでスタートした。世界中に熱烈なファンを持つアードマン・アニメーションズの『ウォレスとグルミット』シリーズだが、意外なことに長編映画は、アカデミー賞長編アニメ賞を受賞した『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005)以来19年ぶりで、これが2作目となる。シリーズの生みの親であるニック・パーク監督と、共同監督を務めたマーリン・クロシンガムが、久々の長編作品の製作裏話を語った。

【画像】初の長編劇場版『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』フォトギャラリー

 今作では、ウォレスが、グルミットの庭仕事を手伝う小型ロボット“ノーボット”を発明。同じ頃、ペンギンのフェザーズ・マッグロウ(短編『ペンギンに気をつけろ!』に登場した悪役)が、ウォレスとグルミットへの恨みを晴らすために陰謀を企み、ウォレスたちは思いもよらぬ危機に瀕することになる。

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 今作のアイデアが生まれたのはかなり前で、『野菜畑で大ピンチ!』を発表した2005年頃だったとパークは言う。「最初はグルミットの庭仕事を手伝うロボット・ノーム(庭に飾る陶器の人形)を作ったらどうだろう、という短編映画のための単純なアイデアだったんです。もちろん(ノームの)テクノロジーに問題が起きるわけですけど、それだけだと新鮮味に欠けます。それで、フェザーズ・マッグロウを思いついたんです。ウォレスとグルミットに個人的な恨みを持つ悪役の登場は、僕たちが抱えていたストーリーの問題を解決し、ストーリーの緊張度をぐっと高めてくれました」

 フェザーズ・マッグロウが戻って来ることにはファンも大喜びだったが、実はこのキャラクターを作るのが、最大のチャレンジだったという。「とてもシンプルなキャラクターですが、すごく小さいので、彼のクローズアップを撮影する技術も、アニメーターたちが繊細で技巧を駆使した作業をするのも、本当に難しいんです。ほんの少しの動きで、多くを表現しないといけませんから」とパークは説明する。

 長年の間に、モデルの素材の一部がシリコンになったり、撮影機材がデジタルスチールカメラになったりといった技術の進歩はあったものの、クロシンガムは「ストップモーションの核となる技術は、まったく変わっていません」と語る。今も小さなモデルを少しずつ手で動かしてコマ撮りするので、非常に手間暇がかかり、今作を作るのには約4年かかったそうだ。

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 パークは、「キャラクターたちについた指紋を見るのが大好きなんです。映画のすべてのフレームに、非常に熟練したアーティストたちがいることを教えてくれるからです。観客に1コマ1コマに込められた愛情を感じてほしいです」とほほ笑んだ。

 『ウォレスとグルミット』の一番の見どころは、手作りならではの温かみある主人公ウォレスとグルミットの魅力とユーモアにあるが、今回もさまざまなジョークに大いに笑わされる。
 「時間をかけてジョークに磨きをかけ、どうすればもっと良くなるか試行錯誤し続けました。世界中の人がわかるユーモアにしたかったんです」と、パークは明かす。『ケープ・フィアー』、エイリアン・フォースに取り憑かれた子供たちを描いた1960年代の映画『未知空間の恐怖/光る眼』、ヒッチコック監督の『レベッカ』などさまざまな映画へのオマージュもあり楽しい。壮大なアクションシーンも見もので、映画批評サイト Rotten Tomatoes でレビュアーから100%と最高の評価を得ている(2024年12月時点)。
 
 最後に、日本のアニメーションで好きな作品を尋ねると、パークは「『千と千尋の神隠し』が素晴らしかったです。『もののけ姫』も素晴らしく、とても影響力のある感動的な映画でした。宮崎さんの作品が大好きなんです」と回答。クロシンガムも「『紅の豚』が私の好きなアニメ映画です」と、2人そろって宮崎駿監督のアニメを挙げていた。(吉川優子 ・Yuko Yoshikawa)

映画『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』はNetflix独占配信

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