中島哲也監督『時には懺悔を』製作委員会「過去作品の報道の件に関し」声明 各取り組み発表
21日、映画『告白』『嫌われ松子の一生』などで知られる、中島哲也監督の7年ぶりとなる新作映画『時には懺悔を』の製作委員会がオフィシャルサイトを通じて声明を発表、本作の製作における各取り組みを明かした。
製作委員会は「この度、本作品の中島哲也監督に関する過去作品の報道の件に関しまして、多くの皆様にご心配をおかけしておりますこと、まずはお詫び申し上げるとともに、本作品『時には懺悔を』製作にあたっての取り組みについて、ご説明いたします」とコメントを発表。
また「当該報道で指摘されている事案を慎重に確認し、製作を決定しておりますが、当該事実関係や本作品の内容等も踏まえ、十分に協議し、各取り組みを実施しております」として、インティマシーコーディネーター及び心理カウンセラーの採用、専門家を常駐させるなどの障がいを持つ子どもへの配慮、ハラスメント講習の実施などの取り組みについて説明している。
本作は、打海文三の同名小説を原作に、重度の障がいを抱える子どもを通して描く、親子の絆の物語。西島秀俊が主演を務め、満島ひかり、黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、塚本晋也、片岡鶴太郎、佐藤二朗、役所広司が出演する。(西村重人)
映画『時には懺悔を』製作委員会の声明は以下の通り。
拝啓
この度、本作品の中島哲也監督に関する過去作品の報道の件に関しまして、同監督よりコメントが公表されました。当製作委員会では、本作品の製作にあたりまして、当該報道で指摘されている事案を慎重に確認し、製作を決定しておりますが、当該事案や本作品の内容等も踏まえたうえで、十分に協議し、以下の各取り組みを実施しておりますので、ご説明させていただきます。
1.出演者とのコミュニケーションについて
出演者と制作スタッフのコミュニケーション不足や意思疎通の行き違いなどを防ぐため、出演者と監督をはじめとする制作スタッフ間で適切に情報共有ができる体制を整えました。
特に出演者の心身への配慮が必要となる身体的接触や、感情表現が大きいシーンを撮影する際には、インティマシーコーディネーターにもご参加いただき、出演者とスタッフの間の意思疎通の適正化、円滑化を図り、出演者やスタッフの身体的、精神的なケアに重点を置いて取り組みました。
また、心理カウンセラーにも定期的に撮影現場にお越しいただき、出演者やスタッフが、直接カウンセリングを受けられる体制を整えるとともに、メールでも相談ができる環境を整えました。これにより、出演者やスタッフが、誰にも相談できない悩みを抱えたまま制作が進むことがないよう最大限配慮いたしました。
2. 障がいをお持ちのお子さまへの配慮について
本作品は、重度の障がいがある子どもを通じて、家族の絆や、さまざまな立場にある周囲の大人の心情・心の動きを、リアルに表現する内容となっており、障がいのある子どもを含む多くのお子さまにご出演いただいています。
そのためにまずは、何よりもお子さまの安全と健康を最優先に考え重度の障がいがある子どものケアに精通している専門家や、救急救命士の資格を持つスタッフが撮影現場に常駐することで、出演者の健康状態や心理状態を常に見守りながら撮影を進めました。
また、小児医療・福祉分野の専門家をスタッフとして迎え、お互いを知り合うことを大切にし、障がいのある子どもとご家族の意思やお気持ちを尊重しながら、コミュニケーションをとりやすい関係づくりや、合理的配慮の視点から撮影に参加しやすい環境づくりに取り組みました。
具体的なシーンの撮影にあたっては、ご家族と何度も話し合いを重ね、できる限り、お子さまの体調に配慮した撮影スケジュールや撮影方法を採用いたしました。また、撮影時には常にご家族にもお子さまのそばにいていただき、1シーン・1カットごとにご家族の方にご確認いただきながら、撮影を進めました。
3.ハラスメント講習の実施
本作品の撮影前に、すべてのスタッフを対象としたハラスメント防止講習を行い、出演者やスタッフ同士のやりとりにおいてハラスメントが発生しないように徹底した注意喚起を図り、安心して撮影に取り組める現場づくりに努めました。
私たちは、制作現場におけるハラスメント等に関する問題を重く受け止め、すべての関係者が安心して制作に参加できる環境を守り続けるため、今後も日々改善に努めてまいります。
また、皆様の信頼を取り戻し、よりよい作品をお届けすることが、映画制作に携わる者としての責務であると考えております。
今回の件で、多大なるご心配をおかけした皆様に、深くお詫び申し上げます。
今後ともご理解とご支援をいただけますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
敬具
2025年1月21日
「時には懺悔を」製作委員会