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【ネタバレあり】「御上先生」椎葉に寄り添う是枝先生 吉岡里帆が込めた思い「希望を見出せるようにしたい」

椎葉の問題と向き合う是枝先生 - 画像は「御上先生」第7話より
椎葉の問題と向き合う是枝先生 - 画像は「御上先生」第7話より - (C)TBS

 文科省のエリート官僚が教師として私立高校に赴任し、生徒たちの抱える問題と日本の教育にはびこる権力に挑む、松坂桃李主演の日曜劇場「御上先生」(TBS系・毎週日曜よる9時~)。その斬新でテーマ性の高い内容に、称賛の声が多数寄せられており、後半戦の展開にも期待が高まっている。主人公・御上孝が受け持つクラスの副担任として彼に寄り添う是枝文香役の吉岡里帆がインタビューに応じ、撮影現場で感じたこと、2日に放送された第7話について語った。(以下、第7話の内容に触れています)

【第7話画像・ネタバレあり】椎葉の処分撤回を…署名活動する生徒たち

「ゆとりですがなにか」メンバーとの再共演

(C)TBS

 吉岡は「令和の新しい学園ドラマ、新しい社会派ドラマを作るという気概にあふれた撮影現場で、使命感のようなものが空気として流れています」と撮影の様子を明かす。「日本の教育と官僚システムに斬りこんでいく難しい題材ですから、毎回考えさせられていて、みんなで練りに練ってお芝居に挑むという結束力が生まれました」

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 吉岡と松坂は、ドラマ「ゆとりですがなにか」シリーズ以来の顔合わせ。同作には、御上と同期の文科省官僚・槙野恭介役を務める岡田将生も出演している。「友だちからは『ゆとり』メンバーやん! と言われました(笑)。あの作品で過ごした時間と関係値があるからこそ、今の関係性でちゃんと役を生きられているなという実感があります」と再共演のメリットを語った。

 主演の松坂について「尊敬する先輩です。懐が深くて、話に耳を傾けてくださるので、お芝居のことも相談しやすいです」と語る吉岡。「御上先生はあまり表情を崩さないのですが、普段の松坂さんは面白いことがあると子どもみたいにケラッと笑う方で。チャーミングで素敵だなと思います」と意外な一面も発見した。「長台詞もセンシティブなシーンも完璧に演じられています。撮影では、何度も同じお芝居をしないといけないのですが、生徒みんながしっかり反応できるよう、毎回新鮮なお芝居をされていて本当に圧倒されます」

 岡田については「今回共演シーンはほとんどないのですが、時々お会いすると、ずっと変わらない若々しさに驚きます」とにっこり。「今回は官僚役のキリッとした役ですが、ご本人は少し抜け感があって、現場でも岡田さんの周りは楽しい雰囲気になります」と紹介した。

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生徒役キャストの成長「作り物じゃない感覚」

(C)TBS

 是枝の相談相手である養護教諭役の臼田あさ美、御上の赴任をよく思っていない学年主任にふんする迫田孝也、腹に一物ある理事長を演じる北村一輝ら、脇を固めるキャストも多彩だ。「心強い先輩方に囲まれて、守られているような感覚になります。迫田さんは本当に面白くて優しい方で、むずかしいシーンの時に『楽しいね』と言ってくださるんですよ。撮影する楽しさを教えていただいています」という。「皆さんに対して、お芝居でも人間としても、真似したいと思うことがすごく多いです」

 そして、御上と是枝が受け持つ3年2組の生徒たち29人は、オーディションで選ばれた若手役者たち。朝ドラや映画などで着実な実績を挙げている子も多く、今、その世代で最前線を走っている役者が揃っているといえる。「第1話の最初のころと、物語が進んだ後で、全員ものすごく変化しているんです。撮影している4か月の間、作品の中の生徒たちの成長と、みんなが主体性を持って仕事に挑んでいくようになった姿がリンクして、作り物じゃない感覚が育まれています」と彼らの成長に感慨深げだ。

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 「実年齢は実際の高校生よりも上の子たちが多いんですけど、教室でも前室(スタジオ前の控室)でも、18歳にしか見えなくて。前室でリラックスしている時と芝居の時と、違う側面の学生らしさがありました」と証言する。教師役でもあり、俳優として先輩ではあるが「こっちが皆さんのお芝居から勉強させてもらうくらいの気持ちで向き合っています」と謙虚だ。「ただ、普通に時々悩み相談とかはしてくれるんです。こういう時はどうしたらいいですかって。それはすごくうれしいですし、可愛いなぁと思います」

椎葉役・吉柳咲良から刺激

(C)TBS

 撮影現場では対話が多いのだという。日々の撮影の詳細を書いた「割本」に、当初はプロデューサーが社会問題や作品についてのコラムを書いていたのだが、後半は生徒役の俳優たちも書くようになった。「普段思っていることや、「自分はこういう人間なんです」と自己開示してくださったり。そういう、みんなが心をさらけだす現場なので、『じゃあ自分もしゃべってみようかな』って具体的な対話が広がっています。どうしたらよくなるか、話し合う機会も多いです。わたしも、普段なら遠慮して言えないことでも、少しでも作品をよくするために今回は積極的に話しています」

 生徒たちの芝居を間近で見ていて「なんて瑞々しいんだろう」と感じている吉岡。「みなさん、今の多感な年齢にしかできないお芝居を日々されているので、きっと大人になったときに、『あの時間はすごく貴重だったんだな』と思うだろうなって。特別な瞬間に立ち会っているという感情になります」と感動を表した。

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 具体例として吉岡が挙げたのは、第7話でメインとなる椎葉春乃役の吉柳咲良の演技。「一番近くで見ていましたが、圧巻でした。そのパワーや繊細な心に、たくさん刺激をいただきました」と称えた。

 「第1話から最終話まで通して、生徒たちが抱える問題が社会的な問題と結びついています。物語中でもテーマの一つであるパーソナル・イズ・ポリティカル(=個人的なことは政治的なこと)が体現されているんです。椎葉さんは、生理のこと、格差や貧困のこと、ヤングケアラーのことなど、今の社会の問題点が凝縮されているようなキャラクター。彼女が一人ぼっちにならないよう、希望を見出せるようにしたいと思いました」と力説。

 物語は終盤に向かっている。生徒たちは、是枝ら大人たちは、どんな変化を見せるのか。そして御上の目的の着地点とは? 日本の教育に一石を投じ、ドラマ史にその名を刻むことになるだろう力作の行方を、しっかりと見届けたい。(取材・文:早川あゆみ)

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