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「御上先生」松坂桃李、岡田将生に全幅の信頼 槙野の表情「彼なりの引き算と逆算がある」【ネタバレあり】

「御上先生」いよいよクライマックス!
「御上先生」いよいよクライマックス! - (C)TBS

 日本の教育・政治・権力構造に一石を投じる、松坂桃李主演の日曜劇場「御上先生」(TBS系・毎週日曜よる9時~)。変革を目指す文科省のエリート官僚・御上孝が高校教師となり、令和の高校生たちに影響を与えながら権力に立ち向かっていくさまを描き、大きな反響を巻き起こしている。今の時代に、楽しいだけのドラマではなく、メッセージ性のある重厚なドラマを制作することをどう考えるのか。主演の松坂が、今作に対する思いを語った。(以下、第9話のネタバレを含みます)

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自分の中で考え続ける力が必要

「考えて」と生徒に伝えつづけてきた御上孝 - (C)TBS

 松坂は「これほどまでに、今やる意義のあるドラマだと思ったのは、自分の中でははじめてでした」と強調する。「メッセージ性が強く、ともすれば『考えが偏りすぎだ』と言われかねない物語で、クレームが来るかもしれないと思うほどの(強い主張を持った)作品ですが、それを作る意味を改めて実感しました」

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 「僕の仕事は、エンターテイメントを作る仕事ですが、それと同時に、その時代の世の中に何を投げかけるか、どういうメッセージや思いを伝えられるのかという面もあると思います。観てくださった方たちが何かを考えることができるのか、その方たちの重い気持ちを軽くすることができるのか。そんなふうにエンターテイメントとメッセージ性を融合させ、思いを込めたモノづくりを、これからの役者人生において、続けていきたいと思いました」

 今作から最も強く発せられているメッセージは、御上が劇中で再三、生徒たちに語っている「考えて」という言葉だ。「アクティブリコールの話も、ビジコンも、文化祭の催し物をめぐるディベートも印象に残っていますが、どのシーンでも御上は必ず『考えて』と言うんです。たった3文字の台詞ですが、場面によってニュアンスが自然と変わります。生徒の空気と、みなさんのお芝居によってだと思うんですけど、僕自身、はじめての体験でした」という。それだけ、松坂の中でも大きな意味を持ったのだろう。

 「考えても答えは出ないかもしれないですけど、考えて考え抜くこと、その考える力が、きっとそれぞれの人生を歩んでいくうえで、必要なことではないかと思います」と松坂。有象無象の真偽不明な情報がネットなどで飛び交い、簡単に手のひらが裏返ってしまう今だからこそ、「想像力を働かせながら、一面だけの情報に惑わされず、自分の中で考え続ける力が必要だと、僕自身にとっても大きな学びになりました」

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物語にある3つの軸

槙野(別名:ヤマトタケル)と結託していた!(C)TBS

 今作には、「ゆとりですがなにか」シリーズで松坂と共演した盟友・岡田将生が、御上の文科省の同僚・槙野恭介役で出演している。「岡田には信頼しかないです」と松坂は断言し、「今回の物語は、3つの軸があります。1つは御上の学校の軸、2つ目は報道部の生徒・神崎拓斗(奥平大兼)と元教師の冴島悠子(常盤貴子)の軸、そして岡田の官僚の軸です。第9話以降、この3つが混ざり合っていきますが、官僚ブロックの空気作りは『あとよろしくね』って岡田に任せました」と明かす。

 第9話のラストで、敵対していると思われていた御上と槙野が、実は当初から結託していた事実が明かされた。「中盤の槙野の表情に、『これ、(味方だって)匂わせすぎじゃない?』と岡田に言ったことがあります。でも『やっぱりそう思った? 俺もちょっと迷ったんだよね。でも大丈夫。仲間と思わせといて、その後の展開でやっぱり敵かと思えるようになっていると思う』って。岡田なりの引き算と逆算がちゃんとあるので、そこは本当に全幅の信頼を置いています」とにっこり。「撮影の合間に、そういう雑談トークは繰り広げていますよ(笑)」

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 2番目の軸である神崎は、自身の行動が引き起こしてしまった事態に、御上の言葉によって向き合えるようになった3年2組の生徒だ。冴島や、その娘である真山弓弦(堀田真由)が起こした事件に真剣に対峙し、物語を回していく難しい役回り。演じる奥平については「共演していて楽しい役者さんの一人」と語る。「ほかの生徒とは別軸を任されているというプレッシャーも大きかったと思いますが、それを表に見せないプロ魂がある。年齢相応の可愛らしい部分を持ちつつ、芝居に対してはわからないことをきちんと口に出して確認するまっすぐさが、ずっと一貫しています」と感心。「自分の意見をしっかり表明できるのは本当に素敵です。僕がその年代のころはできなかった。見習わなければと思っています」

 「僕としては、『御上先生』というタイトルではありますが、実質的には御上と神崎、槙野の3人が主人公で、最終的に『本当の主役は生徒たちだ』ということになればいいなと思っています」

子どもに「考えて」という言葉を伝えたい

御上が涙した母親とのシーン - (C)TBS

 第9話ではもう1つ、御上の大きな変化が描かれた。自分を亡き兄の名前で呼ぶ母と、御上が向き合うシーンだ。「そこに御上は、生徒の富永蒼(蒔田彩珠)と次元賢太(窪塚愛流)を連れて行きます。母とのことを『見届けてくれないか』って。それは、富永の抱える家族の問題に御上が対等に向き合うための選択だと思いました。教師としての歩み寄りであり、自分を孝と認めてほしい子どもとしての母親との歩み寄りです。そこは、御上の人間味が溢れる、大きな波の1つだと捉えました」と御上の変化への感慨を語る。「僕の中ではすごく腑に落ちて、詩森(ろば)さんの脚本を改めてさすがだなと思いました」

 松坂自身、この作品に触れたことで変化があったという。「自分の子どもが大きくなった時、『考えて』という言葉を伝えたいと思っています。子どもへの接し方も少しばかり変わりました。まだ言葉もわからない年齢ですが、『一緒に考えよう』と言い続けようと、心に決めました」と決意を表明する。「親の人生経験から答えを出すのはそれほど難しいことではないと思いますが、子どもと一緒に考えながら成長することの大事さを、作品から学ばせてもらいました」とし、「この作品で得たものは、自分の人生においてもしっかりと持ち続けなければいけないと思っています」(取材・文:早川あゆみ)

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