山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ポルトガル、夏の終わり
    夏は終わっても、新たな秋が始まる
    ★★★★

    死期を悟った大物女優フランキーの思惑が複数のドラマを生み、「人生はままならない、だからこそ人は生きる」と思わせる人生賛歌だ。E・ロメール監督を思わせるテイストの群像劇で、さまざまに意味を汲み取れる暗喩めいた台詞が魅力。自身が亡き後の家族や親友の人生を整えようとするフランキーの独善的な計画はディーバのわがまま風だが、「死」を前にした人間の悟り(?)はなんとなく理解できる。I・ユペールが演じると大抵のキャラクターに説得力が加わるしね。ヒロインが愛した男たちがメソメソ系で、女性のタフさが強調される。M・トメイ演じる親友との大人女子トークも素敵。舞台となる街シントラがただもう美しい。

  • 弱虫ペダル
    若手俳優の体当たりの頑張りに拍手!
    ★★★★★

    アニメ化もドラマ化もされているベストセラー漫画の映画版で、魅力は役者が個性的なキャラクターになり切っていること。永瀬康は主人公・坂道の成長をきちんと演じ分けており、見る側の共感を呼ぶ。高校生とは思えない部長役の竜星涼と「~っしょ」が口癖の巻島を演じる?俊太郎も印象的だ。そして素晴らしいのが出演陣の体当たり演技だ。ロードバイクに乗るだけでも相当に大変だと思うが、全員が競技選手に見えるように乗りこなしているのは立派。山道やバンクなどでかなり特訓したに違いない。クライマックスのレース場面は手に汗握る盛り上がりで、思わず本気で総北高校を応援してしまった。

  • ファヒム パリが見た奇跡
    現代のおとぎ話は実話でした!
    ★★★★★

    移民問題を考えさせる実話だ。主人公はチェスの才能ゆえに命を脅かされ、父親とともにフランスへ渡ったバングラディッシュ人ファヒム。すぐに新環境に適応するファヒムがコーチの下で研鑽を積む展開はスポ根風で、J・ドパルデューが頑固オヤジに見えて実は心優しい指導者を快演する。クラブの子供たちの差別意識ゼロな態度も心地いいし、終盤の「身分証がないから大会参加を認めない規則はおかしい」という考え方も含めてフランス人が寛大に描かれている。一方でフランス語が理解できない父親が政治亡命を却下される顛末にはびっくり。地獄の沙汰も通訳次第? 素敵な現代のおとぎ話であり、人生を左右するのは才能と実感。

  • ジェクシー! スマホを変えただけなのに
    バカとスマホは使いよう?
    ★★★★★

    スマホ依存症で人付き合いが苦手な青年フィルの恋と成長物語で、彼にとってのフェアリー・マザーとなるスマホOSジェクシーが暴走し始めることで笑いが生まれる。OS役の複雑な女心(?)をローズ・バーンが声だけで表現していて、さすがと感心。フィルが偏愛する『デイズ・オブ・サンダー』礼賛や上アパトゥ・キッドのシャーリーン・イーも相変わらずのギークっぷりなどコメディ好きならニヤリとするはず。ただし肝心の主人公が魅力不足かな。彼がいい感じになりかけた美女にある自撮りを送ろうと奮起するシーンの受け取り方で映画の評価が分かれそうな気がする。私は瞬時に冷めました。

  • きっと、またあえる
    学生時代の友だちに会いたくなる心温まる人間ドラマ
    ★★★★

    『きっと、うまくいく』と同じくインドの工科大学の寮を舞台にした青春劇で、「頑張りすぎないで」というメッセージは受験疲れした人に響くはず。不合格を苦に自殺を図った息子に生きる気力を取り戻させるため父親アニから助けを求められた旧友が“負け犬”時代を語って聞かせる展開で、回想ごとに50代になった元大学生と瀕死の息子がポジティブになる仕掛け。観客はきっと映画を見ながら、個性的でユニークなキャラクターと学生時代の友人を重ね合わせ、「会いたいな~」となるはず。N・ティワーリー監督の学生時代の経験がネタ元なのでどの逸話も愛情と笑いにあふれているし、役者全員のチャーミングな快演を披露する。

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