山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • オフィシャル・シークレット
    一人で戦争を止めようとした女性の勇気が心強い
    ★★★★

    イラク戦争に反対を唱え、行動したイギリス人女性キャサリン・ガンの勇気に感服する実話だ。主人公の揺れ動く心情、彼女を後押しした正義感あふれるジャーナリズムと人権弁護士の活躍それぞれを描きながら事実を積み重ねる構成でサスペンス感を盛り上げる脚本と演出もうまい。といっても本作は政治サスペンスではなく、主役はあくまでも一個人で、焦点となるのは人間のモラル。K・ナイトレイが演じるヒロインをつき動かしたのは“良心”であり、キャリアや人生を犠牲にしてまでも戦争を止めたかった彼女の思いに深く共感した。内部告発で事態は変わらなかったが、キャサリンのような人間がもっといたらと思わせる。

  • シチリアーノ 裏切りの美学
    マフィアの秘密結社ぶりがよくわかる
    ★★★★

    1984年に始まったマフィア大裁判に至った背景や人間関係がしっかり描かれていて、そのドラマティックさに驚く。パレルモ派vsコルネオーネ派、コーザ・ノストラや沈黙の掟といったマフィア用語(?)に詳しくなった。仲間の非情さに憤って当局の情報提供者となる主人公ブシェッタの視点で描かれていて、マフィアの残虐さが際立つ。判事を爆殺し、名付け子を嬉々として絞殺。怖すぎる。後半の裁判の様子がまた異常としか思えない状態で、ゾゾッ。檻に入れられた被告人集団が証言台に立つブシェッタを堂々と脅すわ、大声で悪態をつくわ。法治国家とは思えないし、判決が出た後の報復がさらに心配になった。

  • シリアにて
    内戦下に生きる人間の悲惨さを伝える異色の戦争映画
    ★★★★

    国民が独裁政権にNOを突きつけたシリア内戦は泥沼化し、終わりが見えない。本作は首都のアパートに残った二家族とメイドの視点で国民が直面する恐怖を描く異色の戦争映画だ。人々を脅かすのは街角に潜むスナイパーや飛び交う砲弾はもちろん、物資不足や金目のものを狙う強盗も! 戦争は人間性やモラルも崩壊させ、豹変した隣人が女子どもしかいない家を狙って狼藉し放題。その状況をサバイバルするために心を鬼にする母親オームもまた良心を1片ずつ失っていくしかない。若く美しい主婦ハリマが悲惨な目にあう状況に目を覆いたくなるが、これが現実なのだ。メディアの関心が薄れた内戦のリアルな状況を私たちは知らなくてはならない。

  • 僕は猟師になった
    自然と共存するような生き方に魅了されました
    ★★★★★

    新型コロナの影響で、今後の人生を考え始めたときに見て、大いに感銘を受けた。主人公の千松氏はくくり罠猟師で、狩猟期にイノシシや鹿を捕らえる。狩場はなんと自宅の裏山だ! 山に入った千松氏がさまざまな痕跡から動物の行動を読み取る姿にただもう敬服するのみ。彼と家族はまた鶏を飼育し、庭で野菜を育て、養蜂も行う。自然の恵を生活に取り入れる千松家の暮らしぶりはとても豊かで、まるで生態系の一部に収まっている(ように感じられた)。オーガニック野菜を買ってロハスだわ~と自己満足する自分を猛省するとともに、とりあえずプランターで小松菜でも育てようと種を買いました。何ごとも踏み出すことが大事だから。

  • ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
    ティーンの気持ちを代弁するセンスのいい青春ドラマ
    ★★★★★

    高校卒業前夜のJK冒険譚で『スーパーバッド/童貞ウォーズ』にも通じるが、さらなるウィットとミレニアルなキャラ設定が加わったセンス抜群の青春ドラマだ。主人公のモリー&エイミーは意識高い系JKで、ガリ勉&レズビアンな自分を誇りに思っているのが実に今どき。が、他者評価を気にしてないようで実はという微妙なJK心理に共感。猪突猛進がモットーのモリーを演じる太め女優B・フェルドスタインが勇敢なコミック演技を披露し、目が釘づけだ。主人公が女性器名称を連呼するのには苦笑したが、台詞はとても知的。パリピーな同級生も個性が際立っていて(ニコ・ヒラガは要注目!)、“書を捨てて、街へ出よう”って真理だなと納得。

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