山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 地球が真っ赤なオブジェ状のものに覆われる『宇宙戦争』を思わせるが、こちらはサイケなピンク・パープルの光が地球に及ぼす影響が恐ろしい。平穏な田舎暮らしを求めた一家に降りかかる悲劇の源は隕石なのだが、連発する謎の出来事がもう「なぜこうなるの?」としか思えないほど残酷。特に光を浴びた母親と次男に起こる出来事は恐ろしすぎた。原作の出版は1927年なので、作家ラヴクラフトが意図したテーマは未知の宇宙への恐怖なのだろう。しかし平凡な家族や静かな田舎町が破壊される展開は、水質汚染や環境破壊を起こす人類への戒めなのかとも思わせた。すっかりB級映画スターとなったニコケイが狂気にまみれていくネイサンを大熱演!

  • 剣の舞 我が心の旋律
    名曲を作ったのは不正義への怒り(と男の嫉妬)!?
    ★★★★★

    誰もが一度ならずとも耳にしているハチャトリアンの名曲「剣の舞」誕生秘話がこんなにドラマティックだとは! ハチャトリアンを一方的に妬んで陥れようとする小役人やストイックな作曲家に恋い焦がれるバレリーナー、忠実なアシスタントなど主人公を取り巻く人物もキャラが立っていて、ドラマを愛憎で盛り上げる(彼らは架空の人物らしい)。しかし強く印象に残るのは、ハチャトリアンの心に渦巻いていたであろう複雑な思いだ。彼がトルコによるアルメニア人虐殺に遡るファシズムの台頭への憤りや上意下達で進むソ連の官僚システムへの反発を抱えていたのは出自を考えれば当然で、不正義への怒りが名曲を作る原動力となったとよくわかる。

  • LETO −レト−
    自由を求める若者を解き放つロック・パワーに心躍る
    ★★★★★

    80年代のソ連・レニグラードを舞台にした青春ドラマと思っていた、最後で実話ものと知ってびっくり! 西側のロックといえば反抗や自由の象徴であり、ロッカーを目指す若者の気持ちは「国家に規制されたくない」の一択なのに、管理側の女性が「人々のお手本にならなければならない」と説明する不条理に笑った。不自由な状況で精一杯、自分らしく生きようとしたソ連ロッカーのひと夏の切ないこと。ボウイやTレックスのサウンドに心躍り、昔のミュージック・ビデオ風映像や語り部的な青年の挿入にニヤリ。自宅軟禁状態に置かれながら撮影したというK・セレブレンニコフ監督の才能とガッツに降参だ。

  • 追龍
    物悲しい余韻に酔いしれる香港ノワール
    ★★★★

    60年代香港を牛耳っていた汚職警官と黒社会ボスの栄枯盛衰は、時代に乗った男たちのたくましさを感じると同時に物悲しい余韻を残す。友情や恩義で結ばれながらも、常に相手を疑わななければならない人生とはこれいかに! 当時のファッションや街並みの再現にしっかり気配りしていて、悪名高き九龍城砦内部や、その真上をカイタック空行に向けて降下する飛行機のアプローチなどの絵面にオールド香港への郷愁たっぷり。D・イェン&A・ラウという2大スーパースターを味わい豊かな個性派が支え、素晴らしい香港ノワールに仕上がっている。さらに印象的なのがアンディの若々しさ。どんなアンチ・エイジングやってるのか知りたい。

  • 海底47m 古代マヤの死の迷宮
    サメ映画に新たなシリーズ誕生、なのか?
    ★★★★★

    洞窟内で巨大サメに遭遇したJK4名が生還しようと知恵を絞る展開で、ケージダイビング事故サバイバルだった『海底47m』よりもアクション度&露出度が高め。海中で会話ができるガジェットを使う設定なので、前作よりも会話劇パートの比重も大きい。海中に沈んだ古代マヤ遺跡に棲みついたサメという設定の是非はともかく、適度なハラハラ感があって、まさに暑い夏向けの涼感ムービーだ。コリン・フォックス&システィーン・スタローンというハリウッド・キッズのデビュー作にはぴったり。次は3世スターを使ってのシリーズ第3弾はいかがだろうか? 映像が暗めなので、大きなスクリーンで見て欲しい。

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