山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ワイルド・ローズ
    ジェシー・バックリーの歌唱力に驚く!
    ★★★★★

    カントリー歌手を目指すローズが夢に向かって踏み出す音楽ドラマで、ストーリー自体に新しさはない。が、物事がうまくいかないことに対しあれこれと言い訳をするヒロインの弱さや浅はかにイラッとさせつつ、ローズを支える人々の愛情描写でバランスを取った脚本は好感度高し! センチメンタル好きなので、ローズと母親の関係にウルルッ。J・ウォルターズ演じる母親のキャラ設定が素晴らしく、終盤でのローズの人間的成長を納得させる。『チェルノブイリ』の熱演が印象的だったJ・バックリーは、ローズのさまざまに揺れる感情を的確に表現する快演。しかも圧倒的な歌唱力でスクリーンを支配する。まさにスター誕生だ!

  • ハニーランド 永遠の谷
    「半分、いただく」気持ちが地球を救う!
    ★★★★★

    ドキュメンタリーなのにものすごくドラマティックな展開があり、まさに“事実は小説より奇なり”。電気も水道もない村で盲目の母親と暮らす女性養蜂家を追うカメラがとらえるのは、彼女と新たな隣人との生き方の違いだ。蜂の巣から「半分は私、半分は蜂に」と蜜を半分だけ採取する養蜂家の手法はまさにSDGsの手本だ。もちろん彼女は自然保護やエコのつもりはなく、先祖代々伝わった手法を実践するだけ。伝統的な知識を元に自然とともに生きる主人公と、消費主義・拝金主義を体現するかのような隣人の対比は、地球を破壊する私たちへの警鐘とも受け取れる。北マケドニアのほとんど手付かずと思われる自然の再生力にも心が洗われた。

  • コリーニ事件
    ドイツ法曹界の深い闇に戦慄する
    ★★★★★

    ある殺人事件で被告の国選弁護人になった青年の調査を通して浮かび上がる法曹界の闇とハイソな人間の心の奥に潜む人種差別意識が恐ろしい。F・ネロ演じる被告の正義を求める気持ちに心動かされるとともに、ホロコースト以外に対するドイツ人の贖罪意識や正義のあり方、人間が持つべき良心について考えさせられた。戦後のドイツ司法省で職員の大半がナチの残党だったのは『アイヒマンを追え~』でも描かれていたが、秩序違反法なる邪悪な法律で多くの戦犯が自由になっていたとは!? 原作者シーラッハは弁護士でもあり、祖父がヒトラーユルゲント総裁だった経歴を抜きにしても、法律の欠点に心を痛めていたに違いない。

  • ライブリポート
    SNSパワーの良い面を強調し過ぎかな
    ★★★★★

    過去の過ちを悔いる警察官が誘拐犯を追う姿をライブストリーミングで配信する設定は新しい。が、同行する女性レポーターとのギャップが生むユーモアや警察サイドの不首尾、主人公を慕う少年の描き方などはお決まりな感じ。警察、ダメ過ぎない?という擬問も浮かぶ。もちろん手がかりの一つとなる黒人トランジェンダーの描き方はユニークだし、追跡シーンや格闘シーンの撮り方はかっこいい。主演A・エッカートも体を張った熱演を披露しており、50代の頑張りに思わず拍手! 相対的に楽しめるサスペンスなのだが、SNSパワーの負の部分を無視している感は否めない。そこはもう少し、監督に突っこんで欲しかった。

  • 15年後のラブソング
    どん詰まり人生は果たして仕切りなおせるの?
    ★★★★

    『アバウト・ア・ボーイ』などで大人になりきれない男の成長を描いたN・ホーンビィが焦点を当てたのは、大人子供な恋人に15年を捧げ、人生どん詰まりと感じる女性アニー。R・バーンが適度な悲壮感を漂わせながら、抜群のコメディ・センスを披露する。メールで心を通じ合わせたのがセレブ!という一種のシンデレラ物語だが、人生をリセットしたいと願う人には希望を与えてくれるはず。ダメ恋人役のC・オダウドは少ない見せ場できっちり役目を果たしている。音楽愛を否定された彼の「アートとは発信する側よりも受け手に意味があるのかも」との主張には色々と考えさせられた。果たして私は監督の思いをちゃんと受け止めているのかしら?

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