山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • イップ・マン 完結
    カンフー映画卒業宣言したドニーの集大成!
    ★★★★

    序章から11年経っても、武術家として披露する詠春拳の迫力もスピードも衰えを感じさせないドニー・イェン。まさに奇跡としか言いようのないアクション演技だ! シリーズを通して「カンフーは戦いの道具ではない」とのスタンスでありながら、必ず強敵を倒してきたイップ・マン師匠の今回の敵がアメリカにおける人種差別というのがタイムリー。移民排斥を唱える白人やカンフーをバカにする海兵隊員に向かって、高い道徳心を持つ師匠がチャイナ・プライドという名の蹴りを喰らわせる展開に溜飲が下がりまくる。エンディングには思わずウルッとなったし、カンフー映画卒業を宣言したドニーのシリーズ集大成としても必見だ。

  • SKIN/スキン
    三つ子の魂百まで、ではなかったネオナチ青年の半生
    ★★★★★

    白人至上主義者のネオナチが心を入れ替えた実話で、人生に行き詰まっている人を「人間は変われる!」とインスパイアするはず。増量し、全身にタトゥー・メイクを施したJ・ベルが主人公を熱演する。ただし、極右青年が変心した理由付けがやや甘い。もう少し父親との関係の深掘りし、差別教育の恐怖や特殊な信条を持つに至る過程も知りたかった。主人公の再生をサポートする活動家との関係もサラッと流していてもったいない。傑作になる可能性があったのに……。しかし、トランプ大統領誕生後にアメリカで確実に増えている(表面化した?)極右が“暴力的で無知で偏見に満ちた”存在と世界に周知する意味ではかなり効果があると感じた。

  • 悪の偶像
    人生は白黒つかないけれど、グレーゾーンが多すぎるのも怖い
    ★★★★

    若者の飲酒運転による交通事故がとんでもない事件に発展し、被害者と加害者の父親を演じるソル・ギョング&ハン・ソッキュが骨太な演技合戦で物語を牽引する。しかし最高に興味深く、複雑な心理演技でベテランを圧倒したのがチョン・ウヒ。中国からの不法移民女性役で、一応はヒロイン。しかし底無しの闇を抱えている強烈なキャラ設定で、物凄い怪演を披露する。大きなテーマは『パラサイト・半地下の家族』でも描かれた格差社会が生む軋轢なのだが、それぞれの階層に生きる人間が抱える忸怩たる思いをきっちりと汲み上げて爆発させた。単なる対比で終わらないのが素晴らしい、イ・スジン監督の視点の鋭さと発想の豊かさに驚かされる。

  • ランボー ラスト・ブラッド
    多分、これが最後なので、見届けました!
    ★★★★★

    孤独を抱えた元グリーンベレー隊員ランボーの戦いの日々に終わりはなかった! 最後のミッションは、娘のように可愛がっていた少女のための復讐で、ベトコンと戦った原点に戻る。武器はトラップだらけの地下トンネル、お得意の弓矢、自ら鍛え上げたナイフなどなど。70代のランボーだが、負ける気はしない。アフガニスタンでソ連軍と、その次にはミャンマー軍と戦ったランボには味方がいたが、今回はぼっちバトル。これも原点回帰である。本シリーズが強いアメリカを望む共和党支持者の時代感を掴んでいるのは確かだし、麻薬カルテルとの戦いはトランプ大統領の口約束の体現のよう。そして最後は西部劇のヒーローを思わせました。

  • サンダーロード
    不器用な人間は、生きるのすら大変だ
    ★★★★★

    母親の葬儀でダンスを捧げる主人公ジムの不穏な言動を追う冒頭の長回しに居心地の悪さを感じる一方、主演も務めたJ・カミングス監督の狙いが気になって仕方なし。理想とする男になりたいと頑張るあまりのジムの空回りが痛々しいが、娘とのやりとりなどにペーソスあふれるユーモアもあって、同情すべきか笑うべきか戸惑った。が、娘のために手遊びの特訓をする父親というだけで、個人的には花丸だ! この1カットを入れただけでも監督を高く評価したい。人生に迷った人間がなんとか軌道修正しようとあえぐ姿に共感するのは、自分自身が不器用なせいもあるが、「生きるって本当に大変だよね」と主人公に話しかけたい気分になった。

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