山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 囚われた国家
    追従か、反逆か? それが問題ってことで。
    ★★★★★

    80年大の人気TVシリーズ『V』を彷彿させる設定と展開で、トランプ大統領下で分断が進み、真実すらフェイク・ニュース化される現代アメリカに警鐘を鳴らすつもりだったはず。とはいえ地球の資源を搾取するエイリアンに追従する富裕層と反逆する庶民の差がさほど明確に描かれておらず、メッセージが伝わりにくい。J・グッドマンはじめとする主要キャスト4名以外の、自由のための戦いに身を投じるキャラクターの扱いが雑なのに驚くが、これが戦闘のリアルということ? 名作『アルジェの戦い』にインスパイアされたと明言しているR・ワイアット監督の、比較を恐れない勇気は立派だが……。

  • デッド・ドント・ダイ
    J・ジャームッシュ&フレンズによる内輪ジョーク
    ★★★★★

    J・ジャームッシュによるゾンビ映画という段階で意表を突いているし、コメディ寄りなのでロメロ風グロテスクとは一線を画している。ジャンルものでも作家性を感じさせるあたりはさすが! 突然のゾンビ・アポカリプスに庶民がどう立ち向かうのか?との大前提はあるものの、面白さを感じさせるのはキャラクター設定。オフビートな警察官コンビに謎めいた葬儀屋やオタク雑貨店主、世捨て人など盛り沢山。しかもゾンビ発生の原因や差別的な男性キャラで社会風刺してはいるが、大半は内輪のジョーク。B・マーレイやA・ドライバー、T・スウィントン、I・ポップといったお友達も勢揃いなので、監督のファンならたまらないはず。

  • エジソンズ・ゲーム
    立派な人と思っていた天才の素顔にがっかり
    ★★★★★

    小学生時代に読んだ偉人伝の影響で立派な人と思い込んでいたエジソンが、実は嫌な男だったと教えてくれる実話もの。商才があったヴィジョナリーなのは認めるが、自信過剰で心が狭いし、ライバルを蹴落とすためのネガティブ・キャンペーンを行うし、マナーもなっていない!? モールス信号で息子や妻と会話するエピソードも「天才っぽいいい話」に思えず。B・カンバーバッチがキャラに良心を与えようと必死だが、成功にはほど遠い。そのためM・シャノンとN・ホルトが演じるライバルに心が傾き、最後まで主役に集中できなかった。時代感を伝える美術や衣装は素晴らしいが、天才脳を意識したかのような凝りすぎたカメラワークはいただけない。

  • 最高の花婿 アンコール
    コスモポリタンになる難しさをコミカルに描写
    ★★★★

    4人の娘全員が外国人と結婚した『ヴェルヌイユ家の結婚協奏曲』の見事な続編。前作で仲良くなった外国人の婿全員がマイノリティでしかないフランスからの脱出(?)を目論む展開で、閉鎖的かつ保守的なフランス人の国民性を大いに反省。と思いきや、カルチャーギャップや異文化・他宗教、LGBTQを受け入れることの重要性をコミカルに描きつつ、「ビバ・フランス!」にしっかり落とし込んでいる。ドゥ・ショーブロン監督の祖国愛強し! もちろん嫌味な側面はなく、微笑ましいエンディングまで大満足。 ヴェルヌイユ夫妻を演じるC・クラヴィエ&C・ロビーは安定感のおもしろさだし、孫世代の物語などシリーズ化を望みます。

  • ステップ
    人間の温かさが心に沁みる父娘ドラマ
    ★★★★★

    シングルファーザーとなった男性と娘の10年から伝わってくるのは、人間の本質的な温かさ。保育士や育児を優先した主人公を気に掛ける元上司、絶妙な距離感で育児に協力する義理の両親や行きつけのカフェ店員らほとんどの登場人物がいい人で、ホッとする。殺伐とした社会に疲れた身に染みた。主人公・健一が育児を軸に他者とつながり、人間として成長する過程に説得力があり、シンプルなストーリーに深みを与えている。クセ者キャラが得意な山田孝之が健一を真摯に演じていて、好感度大! 娘を演じ分けた子役3人はみな、本当に可愛い。特に歳年長の田中里念ちゃんが素晴らしく、父親の恋人に対する複雑な心理を快演している。

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