山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • エスケープ・ルーム
    スリリングではあるけど、先が読めるのが残念
    ★★★★★

    V・ナタリ監督の『キューブ』を思わせる密室脱出劇で、閉じ込められた6人のサバイバルには『ファイナル・デスティネーション』風味もある。ステージをクリアする毎に鍵を見つけるのが難しくなるゲーム的な要素も今どき。スリリングなホラーだし、監督の狙いも分かるが、密室の仕掛けがデカすぎるのが難点だ。深い川があったり、巨大パズルとなっている建物の構造はいかに? 主人公たちを閉じ込めた側の懐具合や目的が気になって、肝心の脱出劇への集中が途切れてしまう。サバイバル中にたくましく成長するゾーイ役のT・ラッセルは頑張っているが、登場人物のキャラ設定が定番すぎて先が読めるのも残念。続編に期待?

  • 野性の呼び声
    主人公の犬がね、ウィル・フェレルっぽいんです
    ★★★★★

    上流家庭に飼われていた大型犬バックが数奇な犬生を経て、野性を取り戻すまでが2020年風に描写される。ポリティカル・コレクトを意識した部分など、原作と比べると面白いかも。フルCGな『ライオン・キング』的クオリティを期待したが、技術的には劣る。いかにもCG合成な景色のせいで物語に入りこめないことも多々だ。バックが異様なくらいに人間ぽい点は賛否が分かれるはずだが、個人的には犬の豊かな表情やお利口な行動を愛らしく感じたし、「あら、ウィル・フェレルの犬版ね」と納得した次第。極寒のロケ地で本物の犬に過酷な撮影を強いるのはかわいそうだもんね。

  • 娘は戦場で生まれた
    パワフルでリアル、これが映像の力だ!
    ★★★★★

    内戦下のシリア・アレッポでサバイバルする人々の実像がずしんずしんと胸に迫ってくる。女子大生ワアドの「恋に落ちて結婚し、女児サマを出産」という普通の人生と、爆撃や死に満ちた日常が並行する不条理こそが戦争の恐ろしさだ。反政府デモをスマホで撮影し始めた彼女がやがて、娘のために“今”を記録すると決意したあたりから映像のドラマ性も増す。赤ん坊や幼児にも容赦無く襲いかかる死すらもビデオに収めるワアドだが、被写体に寄り添う映像から伝わるのは怒りと悲しみと恐れ。カメラアングルや照明などとは無縁だが、どのシーンもパワフルでリアル。見ている間中、緊張しっぱなしで、映像の力を実感した。

  • ANNA/アナ
    L・ベッソンが考えるフェミニズムには違和感あり
    ★★★★★

    KGBの美人暗殺者のサバイバル劇は、『ニキータ』や『レオン』に通じる部分が多く、派手なアクション場面もL・ベッソン監督らしい。ある意味、成長してない? 
    そして、肝心のヒロイン造形に疑問符がつく。悲惨な人生から抜け出すためなら手段を厭わないのはいいのだが、性的モラルや対人関係がまさに、俺様な男のそれ。女性が強い映画が受ける風潮とはいえ、J・ボンドを女性にすればいいってもんじゃなく、フェミニズムがわかってない。体当たりで熱演しているモデル出身のサッシャ・ルスがちょっと気の毒だ。男優陣の扱いも雑すぎ。とはいえ、見終わった後に男女間で意見を戦わせられるので、デート・ムービーにお勧めしたい。

  • 名もなき生涯
    初の実話ものでもT・マリックの世界観は変わらず
    ★★★★

    オーストリアの農村地帯で平穏な暮らしを追う映像の美しさと、主人公一家が味わう苦難の日々の対比がとても悲しい作品だ。「戦争、バンザイ!」「ハイル、ヒトラー」な世間の風潮に争って良心的兵役拒否をしたフランツと愛妻ファニそれぞれの思いがモノローグとなっていて、一言一言が心にしみる。素晴らしい脚本だし、書簡集からの抜粋だけに言葉に説得力がある。T・マリック監督初の実話ものであり、トリッキーな編集がなく、見やすい。しかし自然光を生かした絵画のような映像と哲学的&宗教的な探求という彼の世界観は変わらず。役者陣の確かな演技とJ・ヴィトマーのカメラが人間の複雑な内面を浮かび上がらせる。

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