山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 荒野の誓い
    乗り越えられない差はない、希望を感じさせる西部劇
    ★★★★★

    衰退したと思われつつも名作が浮上する西部劇はやはり、見逃せない。本作はアクション場面も多いが、監督が重点を置くのはかつて敵対関係にあった男たちのエモーション。戦争という名の殺戮を犯した男たちが時代や状況の変化を実感しながら、心のわだかまりを解きほぐす過程が静かに描き出される。大統領が人種差別する国だが、乗り越えられない差はないと感じさせる展開で見るものに希望を与えてくれる。演技巧者C・ベール&W・ステューディや開拓時代の荒波にもまれる主婦役のR・パイクはもちろん、脇役にいたるまで熱演を披露する。また、今なお残る広大な自然を捉えた映像も素晴らしく、風景に圧倒的されてしまった。

  • ブラインドスポッティング
    人種を超えたバディ関係は一服の清涼剤
    ★★★★

    生かした音楽に乗って、かつて住んだオークランドの風景や映像が次々に流れる冒頭から前のめり。パロール中の元バウンサーの黒人青年が主人公で、白人警官による黒人青年射殺事件が絡む社会派ドラマだが、作品のトーンはバディもの。しかも人種差別や銃規制、ジェントリフィケーションの弊害といった深刻な問題を描きながらも随所にユーモアを交えるC・L・エストラーダ監督のセンスはとても好み。主演のD・ディグス&R・カザルが書いた脚本のセリフも心に響くものが多く、何度も見返したくなった。『ピッチ・パーフェクト』でもいい味出していたU・アンブドゥカルの一人芝居には爆笑! 分断が進むアメリカにとっても一服の清涼剤のはず。

  • ブルー・ダイヤモンド
    キアヌの平板な演技に耐えられるなら、ぜひ!
    ★★★★★

    『フランク&ローラ 魔性のレシピ』のM・ロス監督は、サスペンスとロマンスを組み合わせるのが相当に好きらしい。しかし、本作はどちらのストーリーラインも中途半端で噛み合わない。中盤の熊狩り場面も哲学的な意味がありそうだが、「不要!」と感じたのみ。数あるツッコミどころのなかでも最高に「?」なのが、K・リーブス演じるダイヤモンド商とカフェ店主カーチャの関係性。運命的な恋という設定だろうが、情熱のかけらも感じられず、物語を展開させるパワーがない。キアヌはプロデュースも務めたくらいなので、ノリノリで演じたはずだが……。彼の平板な演技に唖然とし、カーチャ役のアナ・ウラルが気の毒に思えた。

  • おしえて!ドクター・ルース
    可愛くて面白いだけじゃなかった素顔に感銘!
    ★★★★★

    私の知るドクター・ルースといえば、トーク番組でぶっちゃけ話をする面白くて可愛いおばちゃまゲスト。だから本作を見て初めて、彼女がアメリカ人の性生活に与えたインパクトの大きさを知った。ドクター・ルースの半生が本人の日記朗読や写真、インタビューから徐々に形成される構成もわかりやすく、アニメ仕立ての幼少期がいい意味でスパイスとなっている。元々の性格もあるだろうが、ナチス政権下で悲惨な目に遭ったからこそ、LGBTQをあるがままに受け入れ、生と性を謳歌する人生観が養われたのだろう。避妊や中絶に関しては早くから声を上げ、90歳を超えた現在もエネルギッシュに活躍するセラピストの素顔に感銘を受けた!

  • 鉄道運転士の花束
    ブラックなのに心温まる家族ドラマ
    ★★★★

    電車事故シーンから葬儀、精神分析医との面談へとなだれ込む冒頭にもう目が点で、主人公イリヤが語る電車事故談に唖然。つかみはOK! イリヤの神経の図太さは鉄道運転士という職業柄なのかと黒いつつも、不思議な物語に引き込まれていく。ブラックユーモアたっぷりだが、ビビりな養子シーマのために「冗談でしょ?」と思う行動に出るイリヤの優しさと人間性に心打たれ、心が温かくなる。シーマTの出会いや同僚夫妻との友情、亡き妻のエピソードを単なる“いい話”に落とし込まない監督のセンスにうなる。E・クストリッツァ監督の楽観にも通じる人生観を感じさせるが、これは東欧人の国民性なのかもしれない。

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