山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ハッパGoGo 大統領極秘指令
    ワン・アイデアで軽快に突っ走るストーナー映画
    ★★★★

    マリファナ合法化した国ウルグアイだが、実際は供給が追いつかなかった!? そんな意外な事実から発想した映画だから、事実と虚構が入り混じる展開に笑いっぱなし。まずウルグアイ政府の指令を受けるのが違法行為で逮捕された薬剤師とその母だし、二人がマリファナを探す方法がまたバカバカしくて爆笑。お試しマリファナでハイになったりもするし。とはいえ、ドキュメンタリー的な手法を使っているのでアメリカでのマリファナ合法化運動の実態などもよくわかる。エル・ペペとして国民に愛されたホセ・ムヒカ元大統領が本人役で出演しているのにもびっくり。茶目っ気のある国民性のようです。

  • さらば愛しきアウトロー
    汚れ役なのに男前なレッドフォード
    ★★★★

    本作で俳優引退するらしいR・レッドフォードが美男俳優としての有終の美を飾った。紳士的な物腰で銀行強盗を続け、服役後は脱走を繰り返した主人公タッカーは、冷静に考えると反社会的なソシオパス。しかし、レッドフォードが演じると犯罪がさほどいけないことに思えなくなるから不思議。汚れ役を演じても男前でいられるのが大物俳優の底力か。D・ロウリー監督は映像に凝る人で、今回はスーパー16での撮影。これがノスタルジックな雰囲気を作り上げていて、レッドフォードの若き日の映像や写真を組み合わせたシーンに違和感なし。本人もファンも満足の別れの歌なり。

  • ワイルドライフ
    満を辞して監督デビュー作は、ポール・ダノらしさ満載
    ★★★★★

    物静かで繊細で熟考型といった演技が持ち味であるポール・ダノの監督デビュー作は彼らしい作品。夫婦間に入った亀裂が広がる過程を息子の眼差しで見つめる悲しい物語をノスタルジックな映像が彩る、深みのある家族ドラマだ。夫婦の機微が薄っぺらくないのは、公私にわたるパートナーのゾーイ・カザンとの共同脚本だからだろう。家族を養えないジレンマに悩む夫と育児が終わりかけて女として開眼する妻を演じるJ・ギレンホールとC・マリガンがうまいのはわかっているが、息子役のE・オクセンボールドが素晴らしい。両親を愛するからこそ、家族の危機に怯える思春期の少年の心痛を視線や表情だけでビビッドに伝える芸達者ぶりにうなった。

  • Girl/ガール
    トランスジェンダー少女の心情を細やかに描いた快作
    ★★★★

    ドラマ「きのう何食べた」のゲイあるある描写に感銘を受けたが、LGBTQの人が感じる苛立ちや葛藤を本当に理解できるかと問われると「否」としか答えられない。とはいえ、ヒロインであるトランスジェンダー少女ララの心の揺れを感じることはできた。女性の体になってバレエを踊りたい、男の子と恋愛したいといった内なる葛藤を細やかに描いた脚本が素晴らしい。V・ポルスターが全心全力でララになりきっていて、目を奪われる。ゲイ映画には親子間の軋轢が描かれることが多いが、ララをあるがままに愛する父親の存在が新鮮だ。物語のモデルとなったダンサーの父親にオマージュを捧げたキャラクターと監督に教えられ、さらに胸がジーン。

  • ゴールデン・リバー
    登場人物像が複雑化している今どきの西部劇
    ★★★★★

    ゴールドラッシュに湧く西部が舞台の西部劇だがアクションよりも人間ドラマが重要で、主要キャラクターの人物像が複雑なのが今どきだ。毒父に虐待されて殺し屋になってしまった兄弟や家族との確執を抱えていそうな追跡係、彼らから狙われる男は理想主義者でもある科学者といった具合だ。生い立ちや思惑が複雑に絡み合い、事態が思わぬ方向に進行する。映画化を企画したジョン・C・ライリーが堅気になりたい殺し屋の人間臭い面を巧みに演じる。彼の演技を見るだけでも映画館に足を運ぶべし! 
    映像からはフランス人のJ・オーディアール監督が考える西部劇のイメージが伝わってくる。

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