山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • ニューヨーク 最高の訳あり物件
    妻や母という型に自分を当てはめてませんか?
    ★★★★★

    夫に捨てられた元妻が同居という前提に無理がないのは、NYの広大なロフト・アパートだから。業界人っぽい無機質なインテリアの部屋が、ヒロインたちの心境に合わせたように変化していくのが面白い。
    性格も価値観も対極にある元妻たちを演じるカーチャ・リーマンとイングリッド・B・ベルダルは演技派らしい相性の良さで、二人の間に生まれる緊張感や言葉にならない複雑な思いを体現する。まさに行間を読ませる演技で、『ハンナ・アーレント』などで高く評価されたM・フォン・トロッタ監督のコメディ挑戦の成功の鍵と言える。フェミニズムを感じさせる作風で、女性の生き方にさまざまな選択があるというメッセージが伝わった。

  • ピアッシング
    生への渇望を感じさせる不条理コメディ?
    ★★★★★

    心の奥の闇と向き合う人間の姿が切なかった原作は好き嫌いが分かれる作品で、映画化には驚いた。殺人衝動のある男と自傷行為をするメンヘラ女子の出会いがウィン=ウィンに見て実はという展開は同じでも、なぜか不条理コメディに見えてしまうのは主人公リードのせい。殺人をアートの域まで高めたパトリック・ベイトマンの足元にも及ばない稚拙な計画を、エアプレイ! 萎える。彼の瞳に映る内面の演出も安っぽい。ただし娼婦を演じたM・ワシコウスカはいい。出てきた途端に空気感を一変させる存在感と体当たり演技、死に直面して開き直る表情の変化などゾクゾクするくらいに素晴らしい。

  • スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
    ご近所ヒーローの成長がますます楽しみな快作
    ★★★★★

    本シリーズは、ピーターの心の揺れが手に取るようにわかるのが魅力のひとつ。ユーモアたっぷりだし、青春ドラマとして成立するのも素晴らしい。高い身体能力でアクション演技も見事にこなすホランドがとてもチャーミングにピーターを快演する。世界平和よりもMJのハートを射止める方が大事で、イケメン同級生に嫉妬するあたりは思春期ヒーローのリアル。エンドゲームで大人の重責を実感し、アヴェンジャーズとしては及び腰になっている面ものぞき、成長途上にあるピーターの心境に「そうよね」とうなずく。J・ギレンホールの場をわきまえた演技もさすが。T・スターク亡き後の世界に不安はあるけれど、ピーターの今後に期待大なのだ。

  • 家族にサルーテ!イスキア島は大騒動
    親戚づきあいって面倒、と思えるのも贅沢なのかも
    ★★★★

    レストラン経営者夫婦の金婚式のお祝いに集まった親族がいろいろとこじらせる人間ドラマなので、「あらら~」とか「図々しい!」と親戚のおばちゃん気分で鑑賞。夫の浮気に悩む妻や真実の愛を求める中年男、介護疲れのエピソードは世界共通で共感性は高いはず。が、元妻に嫉妬してブチ切れる美人妻の極端な言動と激昂する夫には引いた。離婚しても家族の絆は断たない家族第一主義のイタリアゆえのトラブルだな。曲者揃いでかなり面倒くさい大家族なので親戚づきあいはさぞや鬱陶しいはず。終盤で家長でもある老父が発するグチには笑った。面倒と思ったとしても、ファミリーの存在は贅沢と思わせる快作だ。 

  • ジョナサン−ふたつの顔の男−
    アイデアはいいけど、残尿感あり。
    ★★★★★

    一つの肉体をシェア(?)する異なる人格(ジョナサン&ジョンの兄弟)の葛藤というアイデアは『ふたりのクギづけ』風だが、こちらはシリアス。トラウマで引き起こされる解離性同一性障害ではなく、医学的な処置により生きる時間帯を分けて共存する設定だ。アンセル・エルゴートは兄弟を真逆な性格に演じていて、ジョナサン視点ではビデオ・メッセージの中だけに存在するジョンの人格もとてもわかりやすい。演じ分けも違和感はないし、兄弟のバランスが崩れる過程、二人の間で生じる不仲や不信感も説得力がある。ただし後半で物語が徐々に失速するのが残念。P・クラークソン演じる医師の判断や選択にも疑問符がつくし、残尿感が否めない映画。

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