山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

« Prev 全1,179件中531~535件を表示しています。 Next »
  • 運び屋
    俳優イーストウッドの、実に見事なスワンソング(多分)。
    ★★★★

    ドラッグの運び屋となった男の物語だが、クライム・アクションにあらず。時代から取り残される老人の悲哀や家族との軋轢といった普通の人々が共感できるエピソードが多い人間ドラマだった。主人公アールは無事故無違反の慎重なドライバーだが、人生の最後の最後で間違った道を選択。そんな彼の姿はまさに、我々が人生という地図でどの道を選ぶべきかというナビとなるのだ。演じるのが「年寄りの冷や水」なんて言葉が当てはまらないC・イーストウッドなので、カルテルを向こうに回してのドンパチがあってもおかしくはないが、実話を優先して枯れた老人を円熟味豊かに演じている。彼もきっと最後の作品を誇りに思っているはず。

  • シンプル・フェイバー
    マミー・ポルノならぬマミー・ミステリー!
    ★★★★★

    お人好しなシングルマザーが失踪したママ友を心配して、探偵の真似事を始める設定はコージー・ミステリー。SNSで情報収集するのも今風。ただし想定外のヒネリと回想シーンの組み合わせやヒロインがぶち当たるアメリカ郊外の闇のせいで、昼メロ仕立てにした『ゴーン・ガール』といった趣。コメディが得意な監督なので、心理サスペンスでもお笑いっぽいのは仕方ないが、D・リンチ版があったら見たいかも。主演のアナ&ブレイクがそれぞれに二面性のある女性を楽しそうに演じているし、ブレイクが披露するモデルっぽいファッションもファンにはうれしいはず。気軽に見て、楽しめる作品だ。

  • 移動都市/モータル・エンジン
    宮崎駿アニメを実写化したら、こんな感じ?
    ★★★★★

    移動都市が生き残りをかけて戦うディストピアという設定も顔に傷を持つヒロイン、ヘスターの復しゅう劇にもさほど興味が抱けなかったが、移動しながらトランスフォームする都市やユニークな造形の飛行船が降り立つ浮遊都市にはウキウキ。宮崎駿先生の名作『未来少年コナン』や『天空の城ラピュタ』などにインスパイアされたのか? 原作の世界観を再現するために凝りに凝ったため、役者陣が薄くなったのは仕方なし。とはいえ『マトリックス』のネオばりのクールなアクションでヘスターたちを助ける空賊アナ・ファンを演じるジヘの圧倒的な存在感は魅力的。彼女が操る赤い飛行船とともに強い印象を残した。

  • グリーンブック
    深刻なテーマをユーモアで色付けしたほのぼのドラマ
    ★★★★

    黒人差別が当然の時代にインテリ黒人と粗野なイタリア系運転手コンビが南部を旅する物語で、設定としては非常にシリアス。しかし、P・ファレリー監督らしい温かいユーモアで色付けし、唖然としてしまう人種差別に直面した二人の対応すらも笑いに昇華させる演出が小気味いい。価値観やバックグラウンドが異なる主人公二人がそれぞれを理解して友情を培う姿は、分断が深刻化するアメリカ、いや世界が見習わなくてはならないもの。見終わった後にほのぼのとした気持ちになること請け合い。ヴィゴもマハーシャラも演技派にふさわしい名演を披露している。とはいえ、正直言うと作品賞でのオスカー受賞にはびっくり。

  • サムライマラソン
    お笑い系時代劇ではありませんよ
    ★★★★★

    タイトルからてっきり『超高速!参勤交代』系のコメディと思い込んでいたら、いい意味で裏切られた。外敵の襲来に備えて心身を鍛えようと意気込む殿様主導の遠足に臨む人々それぞれの思惑を描く中盤までは人情喜劇的なトーンで進むが、後半はアクション満載な時代劇に突入。るろ剣で磨いた鮮やかな剣技を再び披露する佐藤健はじめ、役者陣は適材適所。武士が戦う場面のカメラワークが見慣れた時代劇と一味違い、役者の動きをしっかり見せるのが気に入った。また小松菜奈ちゃんが演じるお姫様が独立心旺盛だったり、切り株映画っぽい演出がある点も現代風で、これはグローバル展開を目指す製作者J・トーマスの好みだろう。

« Prev 全1,179件中531~535件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク