山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • あの日のオルガン
    将来を作る“子供の命”を繋いだ保母の勇気に感動
    ★★★★

    親の虐待で命を落とす子供の報道が増えるなか、疎開保育園で幼い子供たちの命を救った保母たちの勇気に胸が熱くなる作品だ。政府が命の優先順位をつける戦時下で、保育園児や保母が下等国民扱いされる現実が恐ろしい。疎開先の排他的な人々と上手に付き合いながら、幼い子供を預かる保母の重責や愛する子供を手放した親の不安、親不在な子供の寂しさと当時の庶民のそれぞれの思いがひしひしと伝わってきて、泣ける。非日常を明るくする新米保母が引くオルガンの音色はとても懐かしく、童心に帰った。猪突猛進で疎開保育を進めるヒロイン役の戸田恵梨香は複雑な心模様を見事に表現したし、同僚役の女優のアンサンブルも素晴らしかった。

  • 女王陛下のお気に入り
    イギリス王室内のマウンティングに女心がうずく
    ★★★★★

    女王の寵愛を争う侍女のバトルが実話とはびっくり。それぞれが政党や貴族という国政の中枢を担う男たちを味方につけ、権力を手中に収めようと女王の気を引く深謀遠慮を張り巡らせるあたりが実に女子っぽい。ランティモス監督が女性に意地悪な視線を向けているのかと思ったが、家督を継げない女性貴族の生き残り術と長年に渡ってサバイバルしてきた女性への敬意なのだろう。賞レースで絶賛されている女優3人は見事な快演を披露し、女王の寝室周りの工夫がユニークな古城や美術、豪華な衣装と見どころ満載。R・ワイズ演じるレディ・サラはダイアナ妃の祖先でもあり、マウンティングは現代にも脈々と受け継がれたと勝手に納得。

  • ファースト・マン
    宇宙飛行士の内面に迫る、ドラマティックな実話
    ★★★★★

    人類初の月面着陸を成し遂げるまでの実話なので、「知ってるよ」と言われるのを覚悟の上でのアプローチがアームストロング船長の内面に迫ること。偉業を成し終えた後も政界支出などせずローキー人生を送っていたので、人知れない部分も多かったのだろう。R・ゴズリング演じる船長は感情が読み取りにくく、月面までは「何を考えているのか?」と疑問に思うことしきり。そんな船長の複雑で悲しみに満ちた内面をクライマックスでのぞかせるドラマティックさがD・チャゼル監督らしい。今の技術と比べるとオモチャのような宇宙船でよくもまあ月へと感慨深し。見ながら、トランプ大統領が陣頭指揮をとるスペースフォースの今後も気になりました。

  • アクアマン
    DCユニバースを知らなくても楽しめます
    ★★★★★

    『ワンダーウーマン』などで顔出し済みのアクアマンがいかにして海(と陸?)の守護神となったかを描くオリジン物語なので、DCユニバースを知らなくても無問題。さらに言うと、ジェイソン・モモアakaカール・ドロゴの神々しい肉体を眺めるだけでも楽しい! 野望に燃える異父弟との確執といった要素はありきたりで、物語は平板。だからこそ、子供でも物語をすぐに理解できるはず。そしてアニメ『海のトリトン』を思い起こさせる海中世界は華やかだし、アリエル姫みたいな赤毛のプリンセス・メラのツンデレぶりも魅力(ただし演技力には疑問符がつく)。続編はさすがに作らないと思うが、スーパーヒーローものとしてはアリ!

  • ちいさな独裁者
    悲惨な状況なら、誰だって残虐になるかも
    ★★★★★

    敗戦が迫るドイツで起きたなりすまし事件の映画化だが、犯人の残虐さがすさまじく、タランティーノ映画もひれ伏すほど。SS将校の権威もさることとながら、虎の威を借りた狐にしがみつく人間の弱さや愚かしさが痛々しい。人間を狂気に駆り立てる戦争の恐ろしさに怯えつつ、一歩間違えれば自分だってそうなりかねないと自戒しながらスクリーンに見入ってしまう。エリート軍人の制服を手に入れ、凶暴性を研ぎ澄ましていく主人公ヘロルトが童顔なのでなおさら気味が悪い。スイス人俳優M・フーバッヒャーの怪演は見逃せないし、彼を取り巻く俳優陣も人間性が破壊されていく状況をリアルに熱演。世界各国がきな臭い今こそ見るべき作品だ。

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