山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • We Margiela マルジェラと私たち
    過剰露出の時代だから、孤高のファッション哲学が新鮮
    ★★★★★

    タグの四隅を止めた白いスティチがシグニチャーなブランド「マルタン・マルジェラ」。革命的ファッションで一世を風靡したデザイナーが業界を去った真相が明かされると期待したが、そんなゴシッピーな興味は吹き飛んだ。マルジェラを支えたスタッフらの証言で構成される本作からは、クリエイターとしての創造の苦悩やファッションとビジネスの危ういバランスが如実に伝わってくる。浅薄なものと思われがちなファッションだが、美を作り上げるのは至難の技。名声に溺れずに、自分を貫いたマルジェラのファッション哲学にはひれ伏すのみ。過剰露出が善(?)とされる現代で匿名性を守る彼の生き方にも感動した。

  • メリー・ポピンズ リターンズ
    オリジナルに敬意を捧げたスーパーナニーの帰還
    ★★★★★

    ジュリー・アンドリュースが演じたマジカルなナニーは今でも憧れの存在だが、エミイー・ブラント版もチャーミング。歌も上手だし、優雅さではジュリーよりも上かも。アニメとの共演など本家へのオマージュを感じるシーン多数。ポピンズがまたもや助けの手を差し伸べるバンクス家のマイケルがやや残念な大人になっている点が気になったが、子供たちが頑張り屋なのでバランスが取れている。子供世代は特に楽しめるはず。ミュージカル場面はブロードウェイっぽいし、リン=マニュエルの見せ場も多い。ハミルトン効果? 個人的には楽曲はオリジナルを超えてないと思うが、ダンスは圧巻。そして衣装がカラフルで愛らしく、全部欲しくなった。

  • フロントランナー
    政策と下半身は別物? 仕事ができればモラルは問わず?
    ★★★★★

    大統領選の先陣を切っていながら女性問題で失脚したゲイリー・ハート上院議員の事件に対し、「下半身のだらしない男だな」と思っていた。今もそれは変わらない。だからこの映画を見て、政策と下半身は別物と言いたい気持ちがビンビンに伝わってくるのに違和感を覚えた。すっぱ抜いた記者をゴシップ記者扱いしているのも失礼な話だ。確かにハートはスティーブ・ジョブズの先見の明に共感し、将来を見通すビジョンで当時の若者を魅了した。J・ライトマン監督もきっとそのひとり。でも仕事ができれば道徳観は問わないという考えには賛成できないし、本作が訴えていることは問題のすり替えのような気がした。役者陣がいいだけに、もったいない。

  • バハールの涙
    演技とは思えないリアリティにひきこまれた
    ★★★★★

    ISISの元性奴隷ナディア・ムラド氏が昨年、ノーベル平和賞に輝いたことは記憶に新しい。ニュースで見聞きするだけでもおぞましい事態に見舞われた女性の実態や恐怖が怖いくらいにわかるのが本作だ。ヒロインは敵に略奪された息子を探す元性奴隷で、同様の身の上の女性たちと女性部隊を結成するクルド人だ。彼女が銃をとるに至った軌跡と戦いを取材するフランス人記者もまた戦いで夫を亡くした身で、言葉にこそしないものの戦争を憎む二人の思いがビシバシと伝わってくる。緊張感溢れる戦場で自らの尊厳と愛する人々、そして平和のために戦う女性兵士の強いこと。もちろん女優が演じているのだが、演者が作り上げたリアリティが圧巻だ。

  • ジュリアン
    ストーカーを早めに治療できる環境が整うことを祈ります!
    ★★★★★

    DV男と離婚しても、子供の親権を共有していると絶縁は難しいと思わせるのが冒頭の場面だ。主人公ジュリアン君は恐怖に震えながら迎えにきた父親の車に乗り、祖父母宅へ。親と同居の上、仕事もうまくいってないらしいと徐々に父親の異常性が明らかになり、見る側の興味をジュリアンと母親のサバイバルへと誘導する演出だ。エスカレートする父親のストーカー行為の恐ろしいこと! 線引きが難しい犯罪とはいえ、激昂して過剰な暴力行為に走らないと規制できないのが辛いというか、綱渡りというか……。治療が可能な病気らしいので、被害者が命の危険を訴える前に取りしまれる状況になればいいなと思った次第。

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