山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • それだけが、僕の世界
    ありがちな設定なのに感動させてくれる脚本力にうっとり!
    ★★★★★

    長男を置いてDV夫から逃げ出したことを悔い続けてきた老女が再会したのは、心の奥に怒りを抱えた息子。しかもサヴァン症候群の次男や富豪令嬢ピアニストが絡むという設定時代は韓流にありがち。でも登場人物の心の動きを丁寧に描いた脚本なので、さまざまな場面で胸に熱いものがこみ上げる。家族とは? 人を思いやることとは? 見る側に自然に考えさせてくれる。主役イ・ビョンホンもいつものかっこよさを消して、恨みつらみで心が凝り固まったダメ男になりきっている。しかも母親や弟と時間を過ごすことで徐々に心を緩める過程を自然に演じていて、ますます演技が上達したと思わせた。

  • めんたいぴりり
    見終わったその足でデパ地下に直行!
    ★★★★★

    食卓に欠かせない辛子明太子を福岡特産品に育てた「ふくや」創業者の物語とあっては必見だ。これが戦後の中洲か~と思わせるセットで起こる人情ドラマは徹頭徹尾、昭和! 戦争の哀切を踏まえ、それでも前に進もうと頑張る庶民の活力が清々しく伝わってくる。沖縄戦の記憶や西鉄ライオンズ愛など泣ける要素もたっぷり。富田靖子の落涙は最高に美しい。ドラマの集大成だが、今までの重要なエピソードをセリフや主人公の夢といった形で散りばめているので、唐突感はない。唐突に登場するスケトウダラの妖精も物語に馴染んでいて、吉本新喜劇風? ツヤツヤと輝く辛子明太子の撮り方が素晴らしく、見終わったその足でデパ地下へ直行しました。

  • 私は、マリア・カラス
    不世出のディーバと呼ばれたのもよくわかります
    ★★★★

    壮麗な歌声と美貌でオペラ界に君臨したイメージがあるマリア・カラスだが実際に活動した期間はさほど長くない。それなのに名前が轟いたのはなぜ? その疑問に答えるのが本作だ。ブルックリン生まれの少女が音楽界で開花し、恋をし、スターダムに登り詰める一方で苦悩していた姿が残された手紙や未公開映像で解き明かされる。波乱万丈な人生は今でいうセレブリティ? 減量のためにサナダムシを食べるというまことしやかな噂もあったね。ギリシヤの海運王オナシスとの不倫にジャッキー・Oが絡む展開は、ブランジェリーナとJ・アニストンよりもスキャンダラスだったはず。不世出のディーバと呼ばれるには、それなりの理由があったのだ。

  • 家へ帰ろう
    老人の終活から浮かび上がる過去の痛みと思いやり
    ★★★★

    登場した瞬間から仏頂面の主人公を見て、意地悪じいさんの話?と不安になるが、さにあらず。袖振り合うも多生の縁そのままの旅先の出会いや「リア王」を思わせる末娘との関係を描きながら、老人アブラハムの人生を掘り下るロードムービーだ。ロードムービーの醍醐味は旅する当人の内省や見知らぬ人との交流にあるが、本作も裏切らない。アブラハムが故郷ポーランドを捨てた理由や再訪の目的が徐々に明らかになり、胸がきゅっと締め付けられる瞬間の連続! 特に印象的なのが若きドイツ人女性との出会いで、アブラハムの心の傷がむき出しになり涙。彼の終活でもある旅の結果は映画を見てのお楽しみだが、温かい気持ちになるのは間違いない。

  • アリー/スター誕生
    70年以上昔から変わらない男性の思考はいいの?
    ★★★★★

    実力はあるのにくすぶっていた女性が男性スターに見出されて成功し……という夢のような物語の4度目のリメイク。今までは家族を養うのは男性という考え方が普通だったので、妻の成功に苦悩する男性像も納得だが、21世紀も同じでいいの? 抜群の歌唱力と演出力を発揮して監督デビューを果たしたB・クーパーが心に傷を負っている歌手を熱演しただけに脚本にひねりがなかったのが残念。自己犠牲は高邁だが、ほかの選択もあったはず。役者の演技もサントラも素晴らしいだけに、男性の思考が70年以上も変わらない点が非常に気になった。ガガ様はコンプレックスでもあった素顔を晒し、女優になりきっている。彼女にはさらなる高みが待っている!

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