山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • マンディ 地獄のロード・ウォリアー
    ニコケイのTシャツを破いてはいけない!?
    ★★★★★

    アニメやサイケデリックな壁紙風背景が挿入され、ニコラス・W・レフンやD・リンチ、メタルロックの影響も感じられるアート風なゴア・アクション! しかも登場人物の人物造形をちょっとしたシーンで観客に伝える、繊細なニュアンス演出にP・コスマトス監督の才気を感じた。多くのアートを取り入れ、自分の世界を作っている。多数の演技派役者が出演したのもきっとそのせい。主演のニコケイは、往年に戻ったかのような怪演を披露する。血まみれでカルト集団と戦う後半は特に彼の独壇場。ウォッカを煽り、コカインをキメ、大暴れ。「お気に入りのTシャツを破りやがって」と吠えるシーンに、ニコケイの完全復活も近いとニヤリ。

  • バグダッド・スキャンダル
    紛争を利用して金儲け? 国連への不信感が増すばかり。
    ★★★★★

    国際平和の維持や人権保護を目的とする活動をする国際組織として盲目的に信頼していた国連だけど、ここ数年は不祥事が続々。本作が明らかにする石油食料交換プログラムに絡む汚職もそのひとつ。汚職に気づいた国連職員マイケルが危険と背中合わせの状況で調査に乗り出すハラハラ感は伝わるが、不正の仕組みがよくわからないのが難点か。もう一つの難点はB・キングスレーで、登場した瞬間に役どころがわかるので意外性ゼロ!? とはいえ、国連職員という尊敬すべき存在が裏で私腹を肥やしていた事実に愕然となるので、告発ものとしては必見。鑑賞後、世界各国の紛争が終わらないのも無理はないと脱力感に襲われてしまった。

  • 十年 Ten Years Japan
    問題に対するふわっとしたアプローチが日本っぽいのかも
    ★★★★★

    中央による政権掌握や言論統制といった市民が直面する政治的問題を扱った香港版と比べてしまうのはやむを得ない。日本版の若手監督たちの視点がデジタル遺産やAIによる画一的教育、環境汚染などに向いていると実感させられた。唯一、石川慶監督が徴兵制を扱って、今の安倍政権が主張する“美しい日本”の気持ち悪さに一石を投じている。が、語り口はテーマにズバリ切り込まない迂回策といった印象が否めない。見終わって気づいたのだが、どの監督も問題に対してふわっとしたアプローチをしている。実はこれこそが日本っぽさなのかもしれない。

  • ヴェノム
    シネマティック・ユニバースに疲れた人に!
    ★★★★

    毛利元就の三本の矢的にチーム力重視の最近のアメコミ映画は、見逃すと追いつけないことも!? だからピンで楽しめる上、コミカル要素も多い本作は大歓迎。正義漢のジャーナリスト、ブロックと凶悪なヴェノムが最初は反発するも徐々に共生の可能性を見出すさまは、結婚生活が長い老夫婦のよう。ヴェノムは皮肉屋だがブロックに的確な恋愛アドバイスまでするほどで、人間の頭を食いちぎるけど意外にいいやつ? ボディスナチャーものとバディものを融合させた点が非常にユニークで面白い。声を変えて二役を演じるトム・ハーディーが大熱演。彼自身も挑戦したバイク・スタントや格闘シーンも迫力たっぷりだ! 

  • スマホを落としただけなのに
    オフライン時代が恋しくなるサスペンス・ホラー
    ★★★★

    男性会社員がスマホを落としたせいで、彼の美しい恋人が狙われるという設定にまず惹かれる。今どきだ。『Search/サーチ』でも鍵付きSNSアカウントが簡単に開かれるのに感心したが、ITに詳しい人ならスマホから個人情報を抜き出すのも簡単なのかと背筋が寒くなる。猟奇殺人と抜き出した個人情報を使った画策に翻弄される恋人たちの困惑を巧みに組み合わせ、観客の恐怖心が増すごとにヒロインの表情がどんどんホラー化するのが中田監督らしい。SNSで繋がった友達の友達を信用したり、よく知らない人が持ってきた酒を飲むといったヒロインの甘さを女性は反面教師としてほしい。もちろんスマホは絶対に落とさないように!

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