山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 止められるか、俺たちを
    若松プロの熱すぎる空気感に前のめりになる
    ★★★★

    白石和彌監督に惹かれて見たが、若松孝二の破壊力の凄まじさに笑っちゃうほど驚いた。井浦新の顔立ちで救われるが、実際はパワハラ? 足蹴にされても殺されかけてもついていった若き映画人の思いは様々だったろうが、映画を作りたいという情熱や臨場感が伝わってくる。紅一点だった吉積めぐみを軸とする青春映画に仕立てられているので、ドラマとしても見応えあり。演じた門脇麦の70年代の新宿から飛び出してきたようなタイムレスな魅力が生きた。多彩な才能を育てた若松プロの熱すぎる空気感に前のめりになるし、日本のインディーズにももっと光をと思った次第。そしてタモト清嵐が好演した秋山道男の物語を映画化してほしいと切に願う。

  • スカイライン−奪還−
    R・ハリーハウゼン風なロボット(?)に首ったけ
    ★★★★★

    前作のヒットを受けた続編製作に7年かかったが、物語自体はタイムラグ無しというのがユニーク。前作で脳みそを吸い取られてエイリアンになったジャロッドも活躍するし、F・グリロ演じる刑事とその息子の父子関係で人間性を演出しているのは、製作に回ったストラウス兄弟の成熟かも。今回は人類の抵抗がメインで、宇宙船が墜落したラオスでは人類の存亡をかけたバトルが発生。技術的に進歩しているはずのエイリアンにガチンコな戦いを挑むのが『ザ・レイド』シリーズのI・ウワスイ&Y・ルヒアンなのも燃える! クライマックスで登場するロボット(?)が一見、R・ハリーハウゼン風で、肩透かし感があるのもOK!

  • 日日是好日
    茶道っていいかも、と思ってしまいました。
    ★★★★★

    なんとなくお茶教室に通い始めた女子大生が人生で迷うたびに、茶道で心のざわつきをなだめて成長する。季節感や日々の暮らしを大切にする茶道の精神性がもたらす“気づき”は当事者にしかわからないかもしれないが、ヒロイン役る黒木華が表情や台詞回しでそれらをきちんと表現するので、「ふむふむ」と納得。茶道の先生を演じる樹木希林のたたずまいもとても穏やかだし、ユーモラスな言葉にも実は至言めいたものが多く、茶道の深さを実感する。先生が言う「毎年同じことができるのが幸せ」という感覚は、日々の忙しさにかまけがちな人間の心にしみるはず。一瞬、一瞬を大切にせねばと自戒。難しいイメージがある茶道だが、習ってみたくなった。

  • LBJ ケネディの意志を継いだ男
    印象が薄かった大統領に血が通った!
    ★★★★★

    JFKの暗殺後、大統領となったリンドン・ジョンソンの印象は非常に薄い。JFK未亡人ジャッキーの伝記映画でも田舎者扱いされていたし。本作は日陰の身だったジョンソン大統領の来し方や野望、政治力を丹念に描いていて、彼を見直す人も多いだろう。敵対する政治家との丁々発止のやり取りや深謀遠慮ぶりはまさにザ・政治家だし、公民権運動に反対していた強硬派をねじ伏せる姿には喝采を送った。前任者の人気が絶大すぎたとはいえ、実績面ではLBJの勝ち? W・ハレルソンが粘り腰の南部男を熱演する。政治素人を売りにするトランプ大統領が生む惨状を見ると、LBJのような手練手管に長けた政治家の登場が待たれる。

  • チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛
    キャストが豪華なだけに、とっても残念な仕上がり
    ★★★★★

    世界的ベストセラーになった原作の映画化権を巡ってはバトルが起こり、ヒロインに旬な女優が次々と名乗りを上げた話題作。しかし蓋を開けてみたら、人物造形が中途半端だし、不倫とチューリップ投機の関係性が薄くてびっくり。賭けみたいな方法で駆け落ち資金を手に入れようとする段階で結末も見えるし…。キャストで特に惜しいのがC・ヴァルツ演じる豪商で、間抜けにしか見えない上、ユーモアのかけらもない描き方に不満が募った。J・デンチ様も無駄遣いにしか思えず! ただしフェルメールの絵画を思わせる色彩感覚や照明設計は一見の価値あり。また当時のオランダの風景や文化を知ることもでき、本筋以外の側面は楽しめる。

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