山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: 最近、役者名を誤表記する失敗が続き、猛省しています。配給会社様や読者様からの指摘を受けるまで気づかない不始末ぶりで、本当に申し訳ありません。

山縣みどり さんの映画短評

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  • 顔たち、ところどころ
    A・ヴァルダ監督の人間力に惚れ惚れ
    ★★★★★

    気鋭の写真家JRと一緒にフランス中を移動しながら、アート作品を製作するドキュメンタリーにはアニエス・ヴァルダ監の魅力が詰まっている。ユーモアたっぷりで温かく、鋭い審美眼を持つ彼女の最大の魅力は人間が好きという点だろう。様々な人々と交流した上でJR独自の視点を借りて、出会った人々を的確に表現する洞察力が素晴らしい。まさに人間力だ。87歳にして、積極的に世界を広げる監督のバイタリティに感服する。映画製作と旅のパートナーとして互いに刺激し合うJRとの関係性にも引き込まれる。登場せずとも大いなる存在感を発揮するゴダールとの来し方の違いが明確になるエンディングでのアニエスとJRのやりとりが心に残った。

  • スカイスクレイパー
    高所恐怖症気味なのでヒヤッの連続でした
    ★★★★★

    危機管理コンサルタントが逃げ場をなくした高層ビルに取り残された妻子を救おうと頑張る設定で、主人公ソーヤーがD・ジョンソンなので結果は見えている。ただ彼が選ぶ手法や障害の乗り越え方が見どころであって、期待は裏切られない。ズタズタに傷つきながら、超人的パワーでビルによじ登り、燃え盛る火をくぐり抜け、銃弾を避ける。主人公は爆破事件で片足が義足となった元FBIという設定だが、そんなハンデをものともしないタフさはロック様ならでは。最後まで安心して見ていられるはずだったが、高層ビルは危険がいっぱい。高所恐怖症気味なので、胃のあたりがキューッとなるヒヤッの連続はまさにエア4DXといった趣。

  • パパはわるものチャンピオン
    子どもはわかってくれない、わけじゃない
    ★★★★★

    原作が絵本とは思えないくらいに深い人間ドラマになっている快作。パパが悪役レスラーと知って悩む翔太と愛する仕事を息子に理解してもらいたい父親・孝志それぞれの葛藤の描き方は定型的だが、監督は観客層を考えてあえてわかりやすさを選択したのだろう。明快で、テンポもいい。間接的に父子をつなぐ触媒となるプロレス女子の存在も心地いい笑いを生んでいるし、仲里依紗は実にチャーミング。しかし、もっとも素晴らしいのは、孝志役の棚橋弘至だ。演技は巧みとはいえないが、口下手な設定なので無問題。言葉にせずとも伝わる本物の迫力と存在感は棚橋以外の配役は考えられないし、全身から息子への思いとプロレス愛が伝わってきて涙。

  • ザ・プレデター
    “敵の敵は味方理論”は宇宙でも通用する!
    ★★★★

    シュワちゃん全盛期に生まれた『プレデター』シリーズの最新版は、ド派手なアクションにS・ブラック監督らしいユーモアが巧みにミックスされたエンタメ作だ。本人も出演した第1作にオマージュを捧げた配役にニヤリとしたが、軍隊やCIAから尻尾切りされかける主人公マッケナ率いる負け犬軍団の常軌を逸しかけた言動やブロマンス場面が実に痛快。名子役トレンブイ君の役どころもダイバーシティーを意識しているし、頭脳派としての活躍を見せてくれる。相変わらず愛らしいし。第3作を見ていないと「?」となる展開もあるが、敵の敵は味方ってことと納得。シリーズのさらなる続行を期待したい。

  • ブレス しあわせの呼吸
    QOLを考えさせられる実話ドラマ
    ★★★★★

    人工呼吸器に頼りながら世界を回って、身障者の生活改善を訴えた活動家ロビン・カベンディッシュの実話。もっとも感動したのは、彼を支えた妻ダイアナの愛の深さだ。死を願う夫に生きる喜びを思い出させ、献身的に世話をする。運命で結ばれた夫を失いたくないという思いはやがて多くの人の人生を変えたわけで、「愛は人類を救う」を実感。QOL(生活の質)についての知識が広がり、延命措置の是非を問われるようになった昨今、深く考えさせられた。これが監督デビューのA・サーキスの演出は、丁寧でわかりやすい。トム・ホランダーが演じる双子の場面が自然なので、監督がお得意のモーキャプで出演したかと思ったけど、撮影技術の勝利でした。

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