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5か国合作の『トルパン』は羊がキャストに慣れるのに1か月で、結局撮影4年!

第21回東京国際映画祭

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セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督と、キャストのアスハット・クチンチレコフ、サマル・エスリャーモヴァ
セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督と、キャストのアスハット・クチンチレコフ、サマル・エスリャーモヴァ

 24日、渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて、第21回東京国際映画祭コンペティション部門の映画『トルパン』上映後、監督のセルゲイ・ドヴォルツェヴォイとキャストのアスハット・クチンチレコフ、サマル・エスリャーモヴァが観客の質問に答えた。

 カザフスタンの広大な大地を舞台に、厳しい自然と共存しながら、一人前の羊飼いになろうと奮闘する青年アサの日々を見つめた本作。短編と中編の監督経験こそあれ、長編は本作で初となるセルゲイ監督だが、俳優顔負けのニヒルな雰囲気を漂わせながら、大物の予感を放って登場。話し出すや、ひょうひょうと独特のテンポでのマシンガントークを繰り出し、会場をセルゲイ監督のペースに巻き込んだ。

 自然と動物が、そこに暮らす人間と同等に大切となる作品の撮影には苦労がつきもの。ヤギがアサに近づいていくあるシーンでは、「彼にヤギがなつくために1か月も待った」という。気の遠くなるエピソードであるが、1か月に関連した秘話はほかにもあり、アサが生まれたばかりの子羊にマウス・トゥ・マウスで息を吹き込むシーンでも、妊娠中のお母さん羊がスタッフに怯えない方法やカメラワークを検討すべく、そこでも1か月を要したのだとか。

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 また、どうしても大自然に目がいく本作だが、耳が大きいとの設定のアサ役のアスハットの耳は実際には普通で、毎朝5時に起きてメイクアップを施していたそうだ。さまざまな苦労の末に撮影に4年をかけた『トルパン』。「これもカザフスタンが大好きだから」と、うまくまとめたセルゲイ監督だったが、主演を務めたアスハットにセルゲイ監督は「天才と暴君が1人の中に同居している」と評され、1本とられた形となった。

 『トルパン』は、海軍の兵役を終えて姉夫婦のもとへと帰ってきた青年を通じて描く遊牧民一家の物語。ドイツ、スイス、カザフスタン、ロシア、ポーランドの5か国による合作。

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