Q ダンスのシーンがすごかったですが、ご自分で踊られたのでしょうか?
ブノワ・マジメル:たった数ヵ月の間に、即興的にダンサーになるのはとても難しいことです。撮影に際しては振付家と共に3ヶ月準備を行ったのですが、たったの3ヶ月しか時間がなかったので……。大部分は自分で踊りましたが、いくつかのシーンではスタントを使いました。
Q ルキノ・ヴィスコンティ監督の作品に強く影響を受けていると感じましたが、その辺について教えてください。
ジェラール・コルビオ:ルキノ・ヴィスコンティについて話すことほど嬉しいことはありません。彼は本当に好きな監督です。演劇に対する好み、音楽、オペラに対する趣味は、いつも私の心を打つものです。今ご質問があったのはヴィスコンティの『ルートヴィヒ 神々の黄昏』についてだと思いますが、あの映画と『王が踊る』とは状況が随分違っていると思います。あの映画は音楽に従属している、すなわちワーグナーに従属する関係にあったのです。ですが私の映画は逆で、国王は全ての芸術を使って自分の権力を確かなものにしようとしている。そういったことを私の映画では表現しています。
Q 撮影に際して一番大変だったことは何ですか?
ジェラール・コルビオ:今のご質問は、私にとっては撮影と同じぐらい困難なものだと思います。撮影中にはさまざまな困難の要素が入ってきて、監督というのはそれらを全て上手くまとめていかなければなりません。いずれにしろ映画を作るというのは巨大な仕事で、とりわけ本作品はそうでした。特別
に難しかったことは、撮影期間が11週間と短かったことです。この規模の映画を作るには、本当にすごい賭けでした。プロデューサーと交わした約束を期間内に果
たしてこの映画を作り上げたこと、それが一番難しかったと言っておきましょう。
ボリス・テラル:私にとって一番難しいこと、それは人生と同じです。つまり好きな人と別
れなければならないこと。今みなさんがご覧になった映画の私の役、あの人物と別 れなければいけなかったことです。これは俳優という職業にとっては運命的なことでありますが、しかし別
れたといっても私の中に彼の一部がいつまでも残り続けるでしょう。撮影が終わってもう随分経ちますが、今もこうやって話をしていて彼の一部が私の中に残っていることが証明されたような気がします。いい質問をして下さって、ありがとうございました。
ブノワ・マジメル:こういう仕事をしている時、作品によってはその仕事が何かしらの情熱に関わるものになってくることがあります。この映画がまさにそうで、どこか情熱を掻き立てられる、自分の情熱と関わりのある作品となりました。内容的にもそうでしたし、本当に強い体験をしました。
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