東西冷戦終結後という時代を背景に、新旧のCIAエージェントのドラマをスリリングに描いた本作。なんといっても話題は、俳優だけでなく監督、プロデューサーとしても幅広く活躍するベテラン、ロバート・レッドフォードとハリウッドを代表するスター、ブラッド・ピットの共演だ。
この二人が初めて顔を合わせたのは、今から約10年前のこと。レッドフォードが監督し、アカデミー賞3部門にノミネートされた佳作『リバー・ランズ・スルー・イット』の主演を務めたのがピットなのだ。この作品により、当時映画俳優としては駆け出しだったピットの名は業界内外に広く認知されることとなる。つまり彼にとってレッドフォードは映画人としての偉大な先輩であるだけでなく、恩人とも言える大きな存在なのだ。
そんな二人が新旧のスパイを演じるとあっては、ファンでなくとも映画への期待感は高まるばかり!
監督は『クリムゾン・タイド』『エネミー・オブ・アメリカ』のハリウッドきってのヒットメイカー、トニー・スコット。
迫力満点のアクションを盛り込んだスピーディで息も付かせぬ
展開に、男同士の堅い絆を描いたドラマをきっちりと盛り込み、最後まで一気に見せる。文字通
り、一流のエンターテイメント大作だ。
事件の始まりは中国の刑務所
中国。厳重な警備の要塞のような刑務所。そこへ二人の中国人医師と、白衣姿のCIAエージェント、トム・ビショップ(ピット)が訪れる。彼はこの刑務所に収容されているある人物を救出にやってきたのだ。医師たちが受刑者に予防接種をしている間、ひとり救出劇を展開するビショップ。だが、後一歩というところで彼と救出された人物は警備員に捕まってしまう。
CIA本部に激震が走る
ワシントンDC。キャリアの最後の日を迎えようとしていた優秀なCIAエージェントのネイサン・ミュアー(レッドフォード)は、1本の電話で起こされる。CIA本部に急行した彼は、香港からの電信により、かつて師弟関係にあったビショップが危険な立場に陥ったことを知る。同僚のハーカー(ディレーン)からビショップに関する資料を求められたミュアーは、事態の深刻さを感じて秘書のグラディス(ジャン・バチスタ)に資料を隠すよう指示する。
よき師弟関係にあった二人の別離
CIA副長官フォルジャー(ラリー・ブリッグマン)ほか幹部が集合する会議室。事件の背景を探ろうとしながら、ミュアーはビショップとの過去を回想する。
二人が出会ったのは1975年のヴェトナム。ビショップの優れた素質を見抜いたミュアーは、実戦を重ねながらビショップを一人前のスパイに育てていく。ビショップはめきめきとその頭角を現すが、ベイルートでの任務中にエリザベス(マコーマック)という女性を愛するようになり、同時にミュアーの非情なやり方についていけなくなってしまう。やがて、彼はミュアーのもとを離れることを告げるのだった……。
大胆な救出計画が始まる!
上層部の様子から、ミュアーはアメリカがビショップを見殺しにすることを察知する。ミュアーはビショップと行動を共にした日々を思い、CIAや国家に背いてでもビショップを助け出すことを決意する。タイムリミットは刻一刻と迫る中、ミュアーは大胆な救出計画を実行していく!
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