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『ナイロビの蜂』を一言でジャンル分けすることは不可能です。128分間の本編の中には、ラブストーリー、社会派ドラマ、サスペンスという3つの要素が絶妙なバランスで組み込まれ、3通りの楽しみ方ができるという“オイシイ”映画に仕上がっています。作品をより深く楽しんでもらうために、キーワードとともに3つの角度から徹底的に解剖します! |
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レイフ・ファインズ演じる穏やかな外交官ジャスティンとレイチェル・ワイズ演じる活動家テッサは、月と太陽のように正反対の存在なので、2人が夫婦になるのはちょっと意外です。ある講演会で出会った2人は、意気投合して一気に恋に落ちてしまいます。そして、お互いについてまだ何も知らないにもかかわらず、テッサのほうからいきなりの“逆プロポーズ”。テッサは外交官の妻として赴任先のアフリカに同行することが目的なのか? そんな彼女の野心を勘ぐりつつも、アフリカでの新婚生活はラブラブそのもの。入浴のぞきシーンや、寝起きドッキリなど、新婚ならではの初々しい映像を盛り込みつつ、ラブストーリーとしてのロマンチックなシーンが満載です。
しかし、妻の熱心すぎる救援活動や流産、はたまた“妻の浮気疑惑”などにより、やがて2人の間には見えない溝ができ始めます。そんな中、突如訪れる妻の死。愛する妻が殺害されたことを知った夫は、妻の汚名を晴らすべく行動に出ます。調べを進めるうち、自分の親友がテッサに送った“ラブレター”の存在が判明し、「テッサは本当に自分を愛していたのだろうか?」という疑惑が浮上。テッサのジャスティンに対する愛は本物だったのか? その答えは映画のラストまで明かされませんが、妻のあるセリフに集約されているので要チェック! |
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“ケニアのナイロビ”を舞台に描かれた本作は、作品の臨場感を高めるために実際にケニアで撮影されています。ケニアで映画が撮影されることはきわめて異例のこと。しかも映画がケニア政府を批判する内容に描いていたため、原作本は“発禁本”扱いだったことを考えると、撮影スタッフの現地での風当たりは強かったのではないか? と思いがちですが、現地の人々は撮影に協力的だったそうです。しかし、人々が貧困にあえいでいる現実は事実で、オープニングシーンではアフリカ最大のスラム街の様子をリアルに映し出しています。
そして、レイチェル・ワイズが演じたテッサ役には実在の人物がモデルとなっていることも重要なポイントです。彼女の名前は“イヴェット・ピアパオリ”。フランス人のピアパオリは、19歳から、60歳で亡くなった1999年まで、アフリカの難民救済に生涯を捧げた人物です。そういったアフリカの現状や救済活動の意義を伝える意味でも、この作品は世界に重要なメッセージを投げかける社会派ドラマといえます。 |
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映画の冒頭からいきなり妻の死が夫ジャスティンに告げられます。それまでジャスティンはまじめな外交官として働き、休日は趣味の園芸に精を出すという平穏な日々を送っていた。しかし、妻の死を不審に思ったことから、ジャスティンも裏社会へと足を踏み入れることになります。
すべての鍵を握るのは、アフリカの現状を訴えるためにテッサが生前に書いた“発表されなかったレポート”。ジャスティンがその行方を探し始めると、妻殺害を企てた張本人たちから執拗(しつよう)な妨害行為が始まります。脅迫状が届いたり、見知らぬ男に襲われたりと、命を狙われてしまいます。気弱なジャスティンは汚い争いや裏社会のことなど何も知らないので、大人しく泣き寝入りしようかとも考えますが、“妻殺害疑惑”までかけられては黙っていられません。“偽造パスポート”を造ったりカーチェイスを繰り広げたりと、すっかりワイルドな冒険野郎へと様変わりします。しかし、妻殺害の真犯人と、妻が探していた事件の真相を徹底的に調査する姿は、夫の鏡です。無精ひげを生やし、汗と泥まみれのジャスティンことレイフ・ファインズもなかなかステキです。 |
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