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ジャンル特定不可能な『ステイ』。それがこの作品の魅力でもあります。
サスペンスのように始まり、やがてミステリーへと変化するストーリーに混乱必至。『ネバーランド』のマーク・フォースター監督がユアン・マクレガー、ナオミ・ワッツ、ライアン・ゴズリングとともに挑んだ“感覚を試すスリラー”映画には、一見しただけでは理解不能なシーンが多くあります。特に意味深なシーンをピックアップします！ |
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ブルックリン橋で燃え盛る車の横に放心状態でたたずむ美大生・ヘンリー(ライアン・ゴズリング)。なぜか無傷のまま精神科医・サム(ユアン・マクレガー)を訪ねるところからストーリーは始まる。
そこからが不可解！ ヘンリーは21歳の誕生日に自殺すると予告して姿を消してしまう。彼を自殺から救おうと必死になって探すサムが逆に翻弄(ほんろう)されていくミステリー仕立てでストーリーは展開します。どことなく「助けてくれ」と訴えているようなヘンリーの瞳が印象的。彼は声が聞こえると言って未来を予言し、タバコを自分の腕に押し付けて消す。部屋中に「Forgive me(許してくれ)」と書きなぐり、初対面である盲目のレオン博士を自分の死んだ父親だと言い出す始末……誰がどう見てもヘンリーは精神的に不安定だ。
心理サスペンスのような展開で、よくあるストーリーかと思いがちだが全然違う。付け加えて、ズボンのすそがツンツルテンで素足がのぞく、サムの石田純一風な服装も不可解。 |
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サムの元患者で画家でもある恋人のライラ(ナオミ･ワッツ)。彼女は以前自殺未遂をしている。その経験からか、自殺予告をしているヘンリーに興味を抱き、会ってみたいと言うが、サムは医者としての守秘義務があるからと断る。きっと、また彼女が自殺未遂をしてしまったらと心配なのだ。
ライラは最近、抑うつ剤を飲んでいない。薬の減りをこっそり数えるサム……。心配なのは分かるけど、こっそり見るのはトラブルの元。案の定、ライラはサムの行動を知ってしまう。「お互い信用しないと……」。この2人、大人とはいえ、ラブラブ感がまったくない。本当に恋人同士？ それとも停滞期？
そして問題発生。ライラはサムに向かって「ヘンリー、忘れ物よ」と言ってしまうではないですか！ 恋人の名前を間違えるなんて絶体絶命のピンチ。しかし、彼女はその間違いにまったく気づいていない。サムの聞き間違い？ ライラとヘンリーの接点は？ この3人の関係は？ |
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両親は死んだと言っていたヘンリーだったが、サムはなぜか彼の母親と会うことができた。オリーブという名の犬と一緒に住んでいる。
唐突に「待っていたわ」と言うところから、なんだか不気味……。部屋には家具類など物はほとんど置いてなく、冷蔵庫も空っぽ。生活感がない。しかも、母親はサムをヘンリーと間違っているようだ。彼女も精神的に不安定なのだろうか？ そんなことを思っていたら、母親のこめかみから血が流れている！ 怖い、怖いよ！ サムは彼女のこめかみに触れようとした瞬間、犬に噛まれてしまう。かわいそうに。
その後、救急病院で手当てをしてもらいながら、保安官から聞かされたのは、ヘンリーの両親は数か月前に死んだということ。さっきまでサムが会って話をしていたのは一体誰？ それともサムの精神状態が悪化してきたのだろうか？ |
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ヘンリーはいったいどこへ行ってしまったのだろう？ 必死に探すも、全然見つけられないサムだが、ふとした瞬間にヘンリーは姿を現す。「なぜ会いにくる」(探しているのに、こんな質問をするのも不可解なのだが)、と聞くと「僕を救えるのは君だけ。だから会いに来る」と言う。なかなか素直じゃないですか。そんな印象を持つも、ヘンリーを追うごとに謎は深まっていく。振り返れば、死んだはずのヘンリーの母と出会い、盲目のレオン博士はヘンリーによって光を取り戻す。何かがおかしい。ヘンリーの予言は次々と現実のものとなり、さっき見たはずの光景がデジャビュのように繰り返される。サスペンスもミステリーも飛び越えて、超常的なストーリーなのではと思わせるほど。
何が現実で、何が現実じゃないのか？ 観ているほうも整理するのが大変だ。ヘンリーは何者？ 彼が訴えているものは何？ そして、より一層この問題を不可解にするのは映像トリック。サムとヘンリーの周りを歩く、同じ服装の双子や三つ子。なぜか銀色のブリーフケースを持っている。これらが表すものとは一体何なのだろうか？ |
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