ほとりの朔子 (2013):映画短評
ほとりの朔子 (2013)ナント三大陸映画祭受賞もナットクの演出力
ダルデンヌ兄弟作品をも彷彿とさせる、リアルさを成立させるための巧妙な構成と演出力に唸る。
二階堂ふみを徹底的に傍観者にさせて素の表情を引き出し、延々と海岸を歩かせての会話劇では役者が作為的な仕草をさせる隙を与えない。不安定な設定は18歳の朔子のひと夏の体験をよりスリリングに見せる効果があるが、一方で役者本人の人間性まで見せてしまう懸けでもある。
意外な魅力を発揮したのが、朔子が影響を受ける伯母役の鶴田真由。楚々とした外観に違わぬ芯の強さと監督の策略も軽くこなしてしまうスキのなさは、一時代を築いだ女優の逞しさを感じる。
ただ人間関係が複雑過ぎて、余計な雑念を観客に与えてしまうのが惜しい。
この短評にはネタバレを含んでいます