ブランカニエベス (2012):映画短評
ブランカニエベス (2012)白雪姫×闘牛士、組み合わせの妙
誰もがよく知る、おとぎ話のアレンジバージョンは映画で人気だが、アメリカのTVドラマ『ワンス・アポン・ア・タイム』より独創的な作品はなし。と、思っていたが、スペインのパブロ・ベルヘによる本作は、白雪姫と闘牛士をミックスさせるという発想が秀逸だ。
主人公のつぶらな瞳の無垢さとは裏腹に、彼女を取り巻く世界は奇妙に歪んでいて、時にグロテスク。おとぎ話はおとぎ話でしかなく、現実は試練の連続であることを、モノクロ&サイレントを用いて、これほどまでに美しい悪夢として描くことができるとは! 幻想的なおとぎ話の世界観と実社会の醜悪さが巧みにブレンドされた映像世界は、文字通り美しく残酷な大人のための寓話だ。
この短評にはネタバレを含んでいます