野のなななのか (2014):映画短評
野のなななのか (2014)大林宣彦流ダークツーリズム
『この空の花–長岡花火物語』で、新潟県長岡市の歴史を紐解きつつ反戦を訴えた大林宣彦監督。北海道芦別市に舞台を移して、思いはさらに強くなっているようだ。ソ連軍の南樺太侵攻の悲劇を軸に、朝鮮人労働者の遺骨発掘調査、閉園したカナディアンワールド、停止中の泊発電所にも触れる。それはダークツーリズムであり、棄民の話でもある。本作ほど多くの犠牲の上で、今の我々の生活が成り立っていることを実感させられる事はないだろう。
確かに時系列は錯綜し、分かりやすい映画に見慣れた人は戸惑うかもしれない。しかし大林監督の悲劇を繰り返さないというメッセージと力技が、些細な違和感もすべてぶっ飛ばしてくれるはずだ。
この短評にはネタバレを含んでいます