八重子のハミング (2016):映画短評
八重子のハミング (2016)今も変わらぬ若年性アルツハイマーと介護の現実
若年性アルツハイマーの妻を12年間介護した夫の愛の物語である。
しかし、その愛が崇高になる程一層、夫婦の孤立=老老介護の厳しさが浮き彫りになる。
八重子さんの言動に苛立つ家族。
夫妻に向けられる世間の厳しい目。
モデルになった八重子さんが亡くなったのは2002年。
病に関する行政や介護現場の取り組みは日進月歩だけに、今ならサポートしてくれる存在があるのでは? と歯がゆく思う場面が多々ある。
だが、あえて一昔前の話であることを強調しないのは、変わらぬ現実と病に対する無理解があることを指摘しているのだろう。
美談だけで終わらせてはいけない。
そんな志ある人たちが作った、意義ある作品である。
この短評にはネタバレを含んでいます