みとりし (2019):映画短評
みとりし (2019)”看取る”を真摯に、丁寧に
看取り士とは一般社団法人日本看取り士会の認定資格で、企画・原案に同会会長が携わっている。本作は新たな職種の認知と、理解を深める意味合いもあるはずだ。だが冒頭に、看取り士が実際に行わない行為も含まれている説明が入り、若干戸惑う。
それでも尊厳をもって”看取る”という行為が旅立つ人だけでなく、残された人の心のケアにも重要かを真摯に綴っていることに魅せられる。中でも日本社会の歴史と移ろいの両方を捉えた地方の風景は、誰にでも訪れる死が自然の営みの一部であることを雄弁に物語る。ともすればお涙頂戴モノになりがちな題材だが、音楽も観客の情感を煽るようなことはしない。そこに映画人の心意気をみた。
この短評にはネタバレを含んでいます