オキナワ サントス (2020):映画短評
オキナワ サントス (2020)炙り出される歴史の闇
'19年末にNHK BS版が放映されているが、映画版はさらに深くサントス強制退去事件の真実に迫り、さらに日系移民社会にある分断や偏見を露にしていく。それは同様の移民問題をテーマにしたドラマなどでは触れられてこなかった、今も根強く残る遺恨。この暗部を、相手の懐に飛び込み、しれっと聞き出してしまうところは、”人たらし”たる松林要樹監督の成せる技。それもまた監督の才能だ。何より本作は、強制退去者名簿の発見という偉業も成し遂げている。その強運を引き寄せたのも、国内外でその土地に根付いた人と街の歴史を丹念に追い続けてきた活動あってこそ。松林監督の功績を讃えたい。
この短評にはネタバレを含んでいます