めくらやなぎと眠る女 (2022):映画短評
めくらやなぎと眠る女 (2022)海外監督がここまで風景、感覚まで日本をリアルに描くとは!
新宿の高層ビルから地方都市の空港やバス停、さらにアパートなど住居の内装まで、アニメでここまで違和感のない日本の風景、その再現力に驚嘆する。
村上春樹の世界を新たな物語にするにあたり、3.11直後を舞台に選んだのが大正解。主人公の一人の曖昧な感情、生と死についてのスタンス、未来への微かな光…。村上小説に漂う空気感と地続きになる。あの文体と映像がフィットするのは、ちょっと不思議な快感。計算ずくだったら天才!
日本製の多くのアニメと違って、人物の表情変化は乏しめだが、そこも震災後の日本人の心情を捉えたようで生々しい。無関係な人物が透明化されるのは、今の日本社会を映したようでちょっと怖かったりも。
この短評にはネタバレを含んでいます