斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴: 1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとしてさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況: 今年1月には放送映画批評家協会賞(クリティックス・チョイス・アワード)の授賞式に出席。ゴジラを手にしていた山崎貴監督とも写真を撮っていい思い出に。ビリー・アイリッシュやトム・ホランド、マーゴット・ロビー、スピルバーグなど間近で遭遇する夢のような時間でした。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭 さんの映画短評

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  • 白雪姫
    苦心の末に、ちょうど適度な具合に落ち着いた仕上がり
    ★★★★★

    不安と期待、両方を抱きながら観ると、ちょうどいいポジションに落ち着いた感覚。1937年版からの改変部分は現代の映画として納得だし、何よりミュージカル映画として冒頭の“つかみ”の盛り上がり、全体の美しい構成に、マーク・ウェブ監督の職人芸を再認識。『(500)日のサマー』でのディズニー・ミュージカルへのオマージュ=青い鳥を思い出し嬉しくなる。

    CGによる7人のこびとも違和感はすぐに消えて世界に馴染み、新曲はサビが耳に残るし、クラシックの2曲と地続きのメロディ。
    ただし「あえて実写に」の理由を求めれば、もっと大胆なチャレンジも見たかった。ディズニー伝統をリスペクトする人には全体に好印象だろうけど。

  • ミステリアス・スキン
    今の日本でこその衝撃+『ブルータリスト』監督の少年時代の名演
    ★★★★

    21年を経ての劇場公開だが、嫌でも旧ジャニーズ問題が重なり、描かれるテーマの切実さ、生々しさに全身が震える。今の日本で観る価値がさらに大きくなった作品。全体的には少年期のトラウマと、それに向き合う10代の複雑な心理を繊細にリリカルに、ファンタジックに包んだ印象だし、ピュアな友情物語として受け止めることもできるが、つねに鋭利なナイフで突き刺されたような鈍い痛み、哀しみが消えない。
    『ブルータリスト』で巨匠の域に達したB・コーベット監督の、俳優時代の初々しい演技に心洗われる。一方でJ・G=レヴィットの娼夫としての身体を張った動き、つかみどころない感情表現に、その後の役とのギャップで目眩をおぼえた。

  • 少年と犬
    シェパードという犬種が効果的。1匹で演じ切ったとは!
    ★★★★★

    犬映画は数多く作られ、基本「かわいい」と心ときめくパターンが目立つが、本作はジャーマンシェパードのため凛々しく知的。いい意味で感情が表に出ない、人間に変に媚びないところが、この物語を甘く、湿っぽくしない。原作どおりとはいえ映画的に好印象。
    犬と親しい関係を築いたことのある人にとって、この手の犬映画はあちこちに過剰に反応してしまうはずだが、本作はそこも控えめ。これを一匹のみで演じ切ったところに惜しみない賛辞を贈りたい。
    特に前半の重要なシーンで、カットの切り替えなど見せ方がうまく機能していないのが気になるところ。また、ファンタジックな要素と現実の噛み合いをどう受け止めるかは、観る人それぞれかと。

  • かたつむりのメモワール
    マニアックな心を刺激しながら、愛おしさに浸るアニメの真髄
    ★★★★★

    作り手(監督)が主人公に自分を投影し、愛おしむように作品を編む。そのプロセスが奇跡レベルで成功した逸品。性別は異なるも、アニメーターの夢を抱く本作のグレースは、明らかに監督の分身。過酷な現実を生きる喜びに変換させせる物語が真に迫っていて共感を誘う。
    監督の前作『メアリー&マックス』と同じく、今回も“遠く離れた場所でも心は繋がってる”という設定が痛いほど効果的。繋がるツールが「手紙」というアナログ感が、クレイアニメのノスタルジックな感触と重なって、切なく胸を締めつける。
    アニメならではの過激&ブラックな描写はありがちな感動を遠ざけ、金継ぎ、猿の温泉という日本文化がアクセントで登場するのも楽しい。

  • BAUS 映画から船出した映画館
    映画館の“遺伝子”が繋がっていき、明日へのバトンを託す
    ★★★★★

    過去100年くらいの映画&映画館事情が、ドラマに押し付けがましくなく絡んでいくので、歴史を受け止める意味で貴重な一作。
    明らかに別の空間で撮影されたにもかかわらず、在りし日のバウスの客席・スクリーンの光景とシンクロしたのは、ちょっとした奇跡かも。低予算に抗うような工夫、時代と人物を混沌とさせる演出も妙。

    故・青山真治監督と縁のある俳優たちの、明らかな愛とリスペクトが画面を満たす。一方で役どころとキャストの相性では、峯田和伸が最強。周囲への迷惑を省みず、「明日だ!」と猛進行動する姿、そしてある別の人物の「後悔しない人生なんてつまらない」というセリフが、映画の未来への希望と重なって幸せな気分に。

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