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ミツバチと私 (2023):映画短評

ミツバチと私 (2023)

2024年1月5日公開 128分

ミツバチと私
(C) 2023 GARIZA FILMS INICIA FILMS SIRIMIRI FILMS ESPECIES DE ABEJAS AIE
轟 夕起夫

大人も子供も、不確かな「本当の自分」を探している

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

服を着る。着替える――全篇にわたって何度も行われるこの行為が、社会上の性別に違和感を抱く8歳の主人公の揺れる心象と同期してゆく。背景には2018年、舞台のバスク地方で性自認由来の痛ましい事件が起こっており、それが初の長編劇映画に挑んだソラグレン監督の機軸になっている。

とはいえ主張強めの作風とは無縁で、主人公とその母親と祖母、さらには養蜂場を営む叔母との関係、そして「呼び名」をめぐる物語を、とろ火でじっくり煮詰めるスタンスだ。劇中、レコードから流れるのはスペインの夫婦ディオ、セルヒオとエスティバリスの1973年リリースの「Búscame」で、「私を探し見つけて」という歌詞内容も含めて効果的。

この短評にはネタバレを含んでいます
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