かいじゅう (2024):映画短評
かいじゅう (2024)「no art, no life」の伊勢朋矢、本領発揮
Eテレ「no art, no life」のディレクターであり、ドキュメンタリー編集者・伊勢長之助を祖父に、同監督・伊勢真一を父に持つ伊勢朋矢の、ドキュメンタリストとしての魅力が詰まった1本だ。言葉に出来ない感情を、時に唸りながら絵として表現していく画家・西村一成氏の制作現場に入り、創造の真髄に肉薄する。決して、個を主張するワケではない。だがカメラの前で起こること全てを受け止めながら、少しずつ丁寧に、被写体の世界の一部となって心根を引き出していく様は一種の才能であり、紛れもなく伊勢印。そして映画は、西村氏にとっての”no art, no life”の理由を見事に代弁している。
この短評にはネタバレを含んでいます