レイブンズ:映画短評
レイブンズ
浅野忠信と英国人監督の化学反応が、狂気とアートの同居へ…
間違いなく浅野忠信に“溺れる”一作。破滅的運命にも身を投じる写真家・深瀬の独自な発想とセンスを体現しながら、酒に酔ったシーンでの自堕落な暴走ぶりに、演技者としての狂気がパーフェクトに発揮され、戦慄する。浅野のキャリアを知る人には、25年前、同じく実在写真家の一ノ瀬泰造役の記憶も重ねて感慨深いはず。
あえて映画的にリアリティを無視したビジュアルも、ドラマに則した演出だと納得。つねに漂う居心地の悪いムードは深瀬を表現しているかのよう。
タイトルにも大きく関わる異形の主(ぬし)は、そのアナログなテイストと主人公との関わりが「ウルトラセブン」あたりの懐かしの星人キャラを思い出させ、変に胸が熱くなった。
この短評にはネタバレを含んでいます