ウリリは黒魔術の夢をみた (2018):映画短評
ウリリは黒魔術の夢をみた (2018)
アメリカンドリームと日本車の「呪い」
2018年のフィリピンで爆誕した破格の大怪作が日本劇場公開。主人公は1991年、地元女性と米軍の黒人男性の間に産まれた「マイケル・ジョーダン・ウリリ」という名を持つ若者。NBA選手になる、という“夢”が現実に激しく歪んだエフェクトを掛け、暴力・性欲・薬物まみれの『スラムダンク』とは遠くかけ離れた青春残酷物語が展開する。
監督はこれが長編2作目となるティミー・ハーン(87年生)。ラヴ・ディアスの系譜にある新世代シネアスト、との説明では収まらぬ個性だ。キマりまくった“黒魔術リアリズム”のモノクローム映像による叙述。野蛮で猥雑なパワーと奇妙な笑い。ジャンルミックスという以上に超・カテゴライズ不能!
この短評にはネタバレを含んでいます