「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は何が面白い?Netflixで人気沸騰!
自閉スペクトラム症を抱えながらも、天才的な頭脳を持つ新米弁護士がさまざまな事件を解決していく韓国ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」。Netflixのグローバルトップ10(テレビ・非英語)で2週連続1位を獲得し、35の国と地域のテレビ部門でトップ10リスト入りするなど、人気を集めている。いったい、何が世界中の視聴者の心をわしづかみにしているのか?(前田かおり)
あらすじは?
「どちらから読んでも“ウ・ヨンウ”。キツツキ、トマト、スイス、子猫、南……」とちょっととぼけた自己紹介をする主人公のウ・ヨンウは、ソウル大学の法学部を首席で卒業した天才新米弁護士。IQ164という頭脳に一度見たことは絶対に忘れないという驚異的な記憶力を持つが、自閉スペクトラム症という発達障害を抱えているために対人関係が苦手で、共感性が少し足りない。
それゆえ、さまざまな先入観や偏見、差別にもさらされるが、本人はへこたれず、誰も気づかない法律の抜け穴や細部などに目をつけて事件を解決していく。物語はそんな彼女が大手法律事務所ハンバダの一員として活躍し、一人前の弁護士として成長していく姿を描いている。
自閉スペクトラム症とは「自閉症」「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」の総称で、コミュニケーションをとることが困難、こだわりが強いといった特徴があるそうだ。韓国ドラマでは、自閉症ながら天才的な暗記力と空間認識能力を持つサヴァン症候群の青年が、差別や偏見を乗り越えて医師として成長していく姿を描いた「グッド・ドクター」(2013)がある。
後年、同作をもとに米国では『チャーリーとチョコレート工場』のフレディ・ハイモア、日本では山崎賢人の主演でリメイク、さらにはトルコでもリメイクされるほどの人気作になった。「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」もこの系譜につながるヒューマンなドラマだ。
愛されキャラのウ・ヨンウ
ヨンウは、ソウル大学法学部を卒業しながら未婚の父となり、子育てのために法の道を諦め、キンパ(韓国の海苔巻き)屋になった父グァンホに育てられた。大好きなものはキンパとクジラ。とくにクジラについての知識は半端なく、一度語り始めると止まらない。
同じ事務所の同僚でロースクールの同期だったスヨンに注意されて、事務所でクジラの話はしないように気をつけているが、それでもつい口にしてしまう。一風変わったヨンウだが、クジラ好きな一面を本来シリアス、かつヘビーになりかねないキャラクターの描写に生かし、作品のトーンを温かくユーモアあふれるものにしている。
そして、このヨンウをイキイキと演じ、ドラマをけん引しているのがパク・ウンビンだ。1992年生まれの彼女は、1998年にイ・ビョンホン主演のドラマ「白夜」で子役としてデビュー、「ホジュン ~伝説の心医~」(2013)で主人公の妻を演じて、大人の女優として脱皮した。
近年は万年最下位のプロ野球チームを立て直す異色の球界ドラマ「ストーブリーグ」(2019)で球団のために奔走するチーム長を好演、そしてNetflixシリーズのファンタジー史劇「恋慕」(2021)では男装の主人公を務め、大ヒットさせた。
名実ともに韓国ドラマ界を代表する存在のパク・ウンビンだが、当初、この役を演じ切れるか不安で引き受けるか迷い、監督と脚本家が1年もかけて彼女を説得したそうだ。いったん引き受けると、自閉スペクトラム症の専門家に会い、綿密なリサーチの上、役に挑戦した。
脇役キャストも名バイプレーヤーで
ショートカットに大きな瞳をパチクリさせながら、パク・ウンビンが演じるヨンウは愛らしい。そんなヨンウに視聴者はもちろん、彼女を取り巻くハンバダの仲間たちも好奇心を持って引きつけられる。上司のチョン・ミョンソクは当初は障害ある彼女を厄介に思うものの、頭脳明晰な能力を認めて仲間として受け入れていく。
演じるカン・ギヨンは「キム秘書はいったい、なぜ?」でパク・ソジュン扮する主人公の恋愛指南をする親友を三枚目に演じていたが、本作では視線や表情で彼女を見守るベテラン弁護士らしさを体現。いくつもの名ゼリフも吐いているが、アドリブも多いらしく、彼の小気味いい返しにはぜひ注目。
また、ヨンウを学生時代から知る同僚のチェ・スヨンを演じるのは、「賢い医師生活」シリーズでお馴染みのハ・ユンギョン。ヨンウの天才的な能力に嫉妬しながらも、障害のせいで差別や偏見を受けることに当のヨンウ以上に怒りを覚えるという複雑な感情を好演する。
さらには入社当日、事務所が入るビルの入り口にある回転ドアで中に入れず困っていたヨンウを助けて以来、彼女に好意を寄せる訴訟チームスタッフのイ・ジュノ。遠くにいても常に彼女を気遣うナイスガイぶりに、演じるカン・テオの人気はうなぎ上りだ。
そのほか、ヨンウの唯一の友達で、ユニークな挨拶をしあうトン・グラミ役は新星チュ・ヒョニョン。そして障害を持つゆえに人一倍娘ヨンウを溺愛する父グァンホ役にNetflixシリーズ「今、私たちの学校は…」をはじめ、良き父親を演じることの多いチョン・ベス。味ある名バイプレーヤーたちも登場し、毎回ハートフルなストーリーを演じる。
ドラマは今週7月27日から、第9話で後半に入る。ヨンウ弁護士はどんな天才肌ぶりを見せてくれるのか、ますます楽しみになる。
Netflixシリーズ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」独占配信中