渡辺謙、メル友の糸井重里と初対面
今や国際的俳優となった渡辺謙が4日、よみうりホールで開かれた『明日の記憶』上映会に登場し、糸井重里とトークショーを行った。
劇中で渡辺の妻役を演じるのは、糸井の実生活での妻である樋口可南子。その縁もあり、渡辺と糸井は4月上旬から糸井が主催するウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で、メール交換をしている。メールの中では、映画の内容のみならず、人生における深い話まで交わしている2人だが、意外な事にこれが初対面。トークショーは「初めまして」の挨拶から始まった。
『明日の記憶』は、主演の渡辺が原作小説にほれ込み、映画化に向けて立ち上がったという入魂の作品。若年性アルツハイマー病に侵される難役に取り組み、俳優人生の中でも特別な1本となったようで、言葉の端々に熱い心意気を感じた。糸井が「この映画と恋に落ちていたんですね」と言うと、渡辺は「恋愛ともちょっと違う……。「きみのお母さんは、この人です!」といきなり言われた感じ」と告白。この映画と運命的に出会い、母親に抱かれているような温かさを感じたのだという。「一体、何なんだろう、この感覚は……と不思議だった。(この作品は)稀有(けう)な存在です」と、渡辺自身も驚きの体験だったらしい。
小説を読み終えてすぐに原作者に手紙を書き、エグゼクティブ・プロデューサーとして参加するなど、まるで何かに突き動かされるように映画化を実現させた渡辺だけに「裸になって「お願いだから観てくださーい!」と走り回りたいくらいの気持ちですよ」と、身体を張ってでも映画を成功させたいという意気込みを語った。
渡辺は現在、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』を撮影中。一緒に仕事をしたイーストウッド監督については「枯れていながら、みずみずしい。すべてを受け止めてくれる父親みたいな存在です」と、こちらは“父親”を引き合いに出して、尊敬の念を表した。
映画『明日の記憶』は全国東映系にて、5月13日より公開。
『明日の記憶』オフィシャルサイトashitanokioku.jp