「カトリーナの被害を知りながらゴルフへ行ったブッシュを信じるな!」スパイク・リーほえる!
第63回ヴェネチア国際映画祭
第2コンペティション部門「オリゾンティ」で1日、スパイク・リー監督のドキュメンタリー映画『When the Leeves Broke.A Requiem in Four Acts』が上映された。
同作品は昨年、米国ニューオリンズを襲った巨大ハリケーン「カトリーナ」の惨状を追ったもので、米国のテレビ局HBOで4回に渡って放送された番組を一本の映画にし、上映時間255分の超大作となった。
リー監督は記者会見で、「昨年のちょうど今日、ここヴェネチア映画祭に来ている時にホテルのテレビで米国で起こっている大惨事に驚き、これをドキュメンタリーとして追わなければと思った」と製作のきっかけを語った。
映画は被災者たちや救助に駆け付けた俳優ショーン・ペンのインタビューのほか、ニュース映像を交えて救済が遅れたブッシュ政権を批判するなど、これまで人種差別など米国の社会問題を鋭く描く作品を発表してきたリー監督ならではの内容となっている。
この日の会見でも、リー監督は堂々とブッシュ大統領への“口撃”を展開。「CNNを見ていたらブッシュがニューオリンズへ行き、復興援助の継続を口にしたらしいが、1年前、カトリーナの被害を知りながらブッシュはゴルフへ行き、それから被災地を訪問したような男だ。そんなやつの言動を信じるな。被災地の多くは、昨日の事のように状況は変わらない。この映画によって、ニューオリンズの人々の事を改めて考えるきっかけになって欲しい」と訴えた。
また、オリバー・ストーン監督『ワールド・トレード・センター』が招待上映され、映画のモデルになったジョン・マクローリンさんとウィリアム・ヒメノさんも上映に駆け付けた。くしくもこの日は、米国の“今”を象徴する2本の作品に沸いた一日となった。