においオタクになりきった! 小動物系俳優
同名のベストセラー小説を映画化した『パフューム ある人殺しの物語』は、映画史上稀に観るショッキングな映像が楽しめる注目作だ。最近では、人気お笑いタレントの桜塚やっくんが宣伝部長に抜擢されるなど、話題にこと欠かない作品だが、意外にも主演俳優のベン・ウィショーについてはその実態が知られていない。昨年開催された第19回東京国際映画祭で、『パフューム ある人殺しの物語』のプロモーションのために初来日したベンに直撃した。
1980年生まれのイギリス出身のベンは現在26歳。主にイギリスの舞台で活躍していた俳優で、映画への出演は『レイヤー・ケーキ』『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』の2本のみ。どちらも脇役だったことから、本作は初主演作となる。日本はもとより、ハリウッドでもその素顔については知られていない。
上映前の舞台あいさつに登壇したベンは、初めて日本の観客を前にしてかなり緊張していたようで、「あ、あ、僕はベン・ウィショーといいます」としどろもどろに自己紹介していた。そのときの心境について聞くと「ああ、あのときね……。僕って極度の緊張症で、人前が苦手なんだよね……」と主演俳優とは思えない弱気な発言。超人的な嗅覚の持ち主を演じたということで、自身の特技を聞いても「え~っと、え~っとね、特技……。特にないんだよね……」とおろおろとすまなそうに応えた。
少し上目がちで、こちらをうかがうような姿勢でインタビューに答える姿は、まるでうさぎやリスといった小動物のような印象。一見頼りなさそうに見えるベンだが、スクリーンに登場するやその印象は一変する。新人ながら、共演のベテラン俳優ダスティン・ホフマンやアラン・リックマンに引けを取らない印象的な演技で、観客をにおいの世界に引き込む。彼が鼻を「クンクン」とさせて匂いをかぐシーンでは、観客にもその匂いが伝わってきそうな錯覚を覚えるほどだ。
確かな演技力を誇る、“小動物系”な印象の俳優ベン・ウィショーに今後も注目したい。
『パフューム ある人殺しの物語』は3月3日よりサロンパスルーブル丸の内ほかにて公開。
『パフューム ある人殺しの物語』オフィシャルサイトperfume.gyao.jp