大塚寧々、子連れで小林薫と再婚する役に挑み「すてきな人…」と力説
7日、有楽町スバル座にて大人の実力派俳優が顔をそろえた映画『休暇』が公開初日を迎え、主演の小林薫、大塚寧々、大杉漣、柏原収史、そして監督の門井肇が舞台あいさつを行った。
共に1951年生まれの小林と大杉は意外にも今回映画初共演。死刑囚を収監する拘置所に勤務する刑務官の部下と上司にふんし、執行現場に立ち合うという難しい役どころだ。大杉を「幅の広い奥行きのある方」と評した小林は、現場でどれだけ助けられリラックスできたかを語った。が、当の大杉は「自分のためにムードを作っているだけで、逆に皆さんにご迷惑を掛けているんじゃないか」とひたすら謙遜(けんそん)。それでも、新人刑務官を演じた柏原の地元でもある山梨ロケの現場がいかに殺風景であり、男ばかりのむさくるしさで大塚にも会えなかったと嘆いていた。さらには、しゃべり続けるうちに言いたいことと口から出ることが違ってきてしまい「『マルコヴィッチの穴』のように、どんどんドツボにはまってしまう」と大いに笑わせ、ムードメーカーたるゆえんを十分に示した。
大杉とは共演シーンのなかった大塚は、子連れで小林と再婚するしんの強い女性を演じたのだが、「こんなすてきな人と結婚できて良かったです!」とあまりに力強く言い切ったために、「そんな吐き捨てるような言い方をしなくても……」と思わず小林の苦笑いを誘った。
その小林いわく「登場人物それぞれの人生が瞬間交錯するような感じの映画になった」という本作は、大杉主演の前作映画『棚の隅』が高く評価された門井監督の長編第2作。限られた予算と日程の中で、死刑制度の最も身近にいる人々の群像劇を淡々としかも味わい深く描くことに成功している。「センセーショナルで、ドラマチックな展開になりがちなところを抑制の利いた演出で仕上げた門井監督の今後にも期待し応援して行きたい」と小林がエールを送れば、大塚も「静かだけれど、じわじわじわと心に響いてくる映画になった」と門井監督の演出をたたえた。
映画『休暇』は有楽町スバル座、お台場シネマメディアージュほかにて全国公開中