今年のMTVムービーアワードはしらけっぱなし…でもジョニー・デップとコールドプレイが救世主に!
ユニバーサル・スタジオの大火災がまだくすぶっている翌日に、スタジオ敷地内に位置するギブソン・アンフィシアターで開催された今年のMTVムービーアワード。陰鬱(いんうつ)な気分を吹き飛ばせ! とばかりに、今年のムービーアワードもアカデミー賞顔負けの豪華スターが顔をそろえた。
今年の司会はマイク・マイヤーズ。なぜか彼とクリス・ブラウンのダンスバトルで授賞式が幕を開けた。その後はまずベストパフォーマンス女優部門の発表。『JUNO/ジュノ』で大活躍のエレン・ペイジが受賞した。映画ではわかりにくいが、エレンは非常に小柄。プレゼンターのシャリース・セロンが巨人に見えた一幕だった。
お次は黄緑のジャージを着て表れたウィル・フェレルがプレゼンターの最優秀ファイト賞。そして、アンダーグラウンド格闘技「ネバー・バックダウン」のイケ“面”・イケボディーの白熱バトルを披露。そして続編モノでお疲れな感じだった『ラッシュアワー3』のジャッキー・チェンや『スパイダーマン3』トビー・マグワイアらは受賞を逃した。
火災の直後のせいか、はたまた冴えない脚本のせいか(今年の授賞式は的外れのジョークばかりでしらけムードの観客席が映し出されること多々)なんとなくイマイチのムードですべり出した受賞式。だが、その雰囲気をとりあえず救ったのがブリティッシュ・バンドのコールドプレイだった。すっかりベテランの域に入った彼らのゲスト・パフォーマンスが、前半からしらけムードの観客席にさわやか旋風を送った。
コールドプレイの演奏のあとは、“今とりあえず1番のサマー大作で賞”(The Best Summer Movie So Far”)という夏の超大作に与えられる賞の発表。『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』を押しのけて『アイアンマン』が受賞した。そして、しばらくドラッグ問題などの不祥事で姿を消していたロバート・ダウニーJr.が監督のジョン・ファブローとともに受賞あいさつ。ロバートはこの映画に主演したことで世紀のカムバックを遂げた!
この後登場したのは、『セックス・アンド・ザ・シティ』で息の合った共演ぶりを見せたサラ・ジェシカ・パーカーとジェニファー・ハドソン。ベスト男優賞のプレゼンターとして、『アイ・アム・レジェンド』主演のウィル・スミスに賞を贈った。
この後ベスト新人賞にザック・エフロン、ベスト・キス賞に『ステップ・アップ2』のブリアナ・エヴィガン&ロバート・ホフマン、そしてベスト・ムービーに『トランスフォーマー』という受賞ラインナップが続いた。
本来のパンチに欠けていたという感がどうしてもぬぐえなかった今年のMTVムービーアワード。しかし、ベスト・コメディー賞の発表でおいしいハプニングがあった。受賞作品は『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』。パイレーツと言えばジョニー・デップ。彼はこういった授賞式にはめったに顔を出さないのだがこの日、いきなり姿を現したのだ。受賞作品が読み上げられた後、舞台袖からジョニーがひょっこり顔を出すと、驚いた観客はスタンディングオベーションの嵐。『21ジャンプストリート』のころを彷彿(ほうふつ)とさせるおちゃめショートヘアでジョニーは皆にごあいさつ。この日、彼は『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』でベスト悪役賞にも輝き、今年のMTVムービーアワードは授賞式の盛り上げ役も含め、ジョニーが殊勲賞という感じだった。(取材・文:神津明美)