アカデミー賞の約40秒間のスピーチに緊張!ハビエル・バルデムにインタビュー
映画『ノーカントリー』でアカデミー賞助演男優賞を獲得したハビエル・バルデムが、ノーベル文学賞作家ガブリエル・ガルシア=マルケス原作の新作映画『コレラの時代の愛』について語った。
14歳のときに姉から原作小説を奪って読んだというハビエルは、一読した瞬間に「この作家すごいな! いったいどんな人だろう」と幼いながらに感じたという。その後2006年1月に本作のプロジェクトを知ったというハビエルは、素晴らしい脚色に感動し、監督のマイク・ニューウェルにラブコールを送り、自ら主役をつかみ取った。「当初マイク監督は僕がキャラクターに合わないと思っていたんだ。何せ原作のフロレンティーノは小さな男なんだけど、実際の僕はクジラタイプだからね! けれど僕には情熱があったんだ」と本作に並々ならぬやる気を感じさせるコメントを聞かせてくれた。また主役をつかみ取っただけでなく、あこがれのガルシア=マルケスと会うことができたというハビエルは、演じるフロレンティーノ についてこと細かに聞き出し、役作りをしていったという。
2008年は『ノーカントリー』や本作などが公開され、アカデミー賞も含めてハビエルにとってはまさに飛躍の年といえる。彼自身はそれをどう感じているのだろうか。「疲れた。疲れているけれど、満足でもあるよ。自分の演技が好きだなんていうつもりはないけれど、この2つの作品は僕がしたかったことについて、非常に誠実なアプローチができた作品だと思っているからね」と静かながら、自信に満ちたコメントを聞かせてくれた。またアカデミー賞受賞について話が及ぶと「受賞時のスピーチは緊張したよ。何せ与えられた40秒の中で感謝している人の名前を全部言わなければならなかったから(笑)」と意外なエピソードを聞かせてくれた。
最後に、アカデミー賞受賞後の意識の変化について尋ねられたハビエルは「変わってはいないし、変わっていないことを願っているよ。受賞は光栄なことだけど、少し距離を置いて自分を見つめることが大切だと思うんだ」と慎重に言葉を選ぶように語り、名誉におぼれることないハビエルの素顔が垣間見えたような気がした。
『コレラの時代の愛』はガルシア=マルケスの同名傑作小説を映画化した作品。内戦とコレラのまん延に揺れる19世紀末から20世紀前半のコロンビアを舞台に、半世紀に渡って一人の女性への思いを貫いた男の純愛を描く。
映画『コレラの時代の愛』は8月9日よりシャンテ シネほかにて全国公開